蟻の社会科学

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸に、リベラルアーツを横軸に、システム思考を最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。内容は個人的見解です。email:arinkoblog@gmail.com

経済学

格差社会論 その5〜ピケティとハーヴェイロードの前提〜

ピケティが流行っている。読んだことはないが断片的な情報だけで考えると、「ハーヴェイロードの前提」を基礎にした社会主義的な考えではないだろうか・・・? 格差是正のために政府による再分配を強化することは、イコール官僚組織の肥大による官民格差を生…

日本国債と長期金利の行方

日本国債の長期金利が最近よくニュースになっています。それについて考えてみよう。 国債の長期金利の上昇(国債の価格の下落)に関してリフレ派は軽く考えている節がある。その軽く考える根拠として「長期金利が上昇しても既発国債1000兆円の利率は一定…

藤沢数希氏の「10人の村で経済成長と失業を考える」

藤沢数希さんの記事は面白い。藤沢さんの本は一度も読んだことはありませんが、経済の話は例えが非常にわかりやすいし説得力がある。(一時期、傍から見ると異様と思えるほど原子力を擁護していたその心は理解できませんが。) 藤沢さんが先日書いていた「1…

リフレ派が嫌いな理由

アベノミクスという言葉で表される、所謂「リフレ論」がどうにも好きになれません。俺は「金はたくさんあればいい」と考える俗物ですから、金を刷って世の中が良くなるのであればリフレ論に大賛成です。しかし、現実はそれほど簡単でも単純でも無いような気…

貨幣数量説やマーシャルのKなど

いわゆる貨幣数量説もマーシャルのKも経済学においては重要な仮説であり土台だと思います。しかし演繹法で導かれたスタティック(静的)な理論のような気がします。 社会はとてもダイナミック(動的)です。静的な理論では論じることが難しいような・・・。…

英紙フィナンシャル・タイムズが日本の政治家の金融緩和圧力を批判

英紙フィナンシャル・タイムズは20日付の社説で、日本の政治家らが衆院選を控えて日銀に金融緩和圧力を強めていることに関し、「政治家が中央銀行の政策を最終決定することは賢明でもなければ、日本経済の苦境の解決策にもならない」と批判した。 同紙は、…

トリクルダウン理論について

トリクルダウン理論(トリクルダウンりろん、trickle-down theory)とは、「富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透(トリクルダウン)する」とする政治思想である。「金持ちを儲けさせれば貧乏人もおこぼれに与れる」と主張することから、「おこぼれ…

景気が回復すれば失業は減るか?〜フィリップス曲線〜

「インフレ率と失業率はトレードオフ(バーター)である。」 フィリップス曲線の理論を根底から覆してしまうのがこれからの時代です。それは「高齢化による労働人口減少」と「働く意思を持たない人の増加」です。「高齢化による労働人口減少」 「生産年齢人…

【30冊目】アダム・スミス 堂目卓生

古典を読む時、いきなり岩波文庫を読んでも俺のような初学者には理解出来ない。本書のような入門書こそが古典への入り口となると思います。2008年サントリー学芸賞を受賞した本書を手掛かりに「経済学の祖 アダム・スミス」について考えてみたいと思います。…

「金が無いなら金を刷ればいい。」という考え方

自民党は4日、東日本大震災の復興や災害対策のため、10年間で200兆円の公共投資を行うことを柱とした「国土強靱(きょうじん)化基本法案」を衆院に提出した。大規模な投資を景気回復につなげる狙いがある。民主、公明両党などにも成立へ向けた協力を…

需要と供給。金融経済と実体経済。静学と動学。

はじめに (この記事は長いので全部読むには根気が必要です。暇で奇特な方がいれば読んでいただければ幸いです。) このブログに経済学というカテゴリがありますが、別に俺は経済に詳しいわけではありません。遠い昔、学生時代に経済を学んだ気がするが、現…

お金が需要を生むのではなく、需要がお金を生む。限界効用逓減

お金が無い!世界中でお金が無い!ような気がするが、実はお金は世界中で有り余っている。管理通貨制の現代社会ではお金はある意味では無限です。金が無いのではなく「「金を社会に行き渡らせる手段が無い!」「仮に金を行き渡らせたとしても需要が無い!」…

最強の矛と盾

アメリカ発リーマンショック、欧州発ギリシャショック、日本の巨大な財政赤字から起こる可能性があるジャパンショック。世界の三大経済セクターから発生、または発生しつつある世界経済の混乱。この問題を解決するためのほぼ唯一の方法はそれらの地域の経済…

「円」の「価値」はどこへ行くのか?〜国債バブルとキャピタルフライトの行方〜

「政府の負債が国民の金融資産を超え、国債の買い手がいなくなったとき国債の価格が暴落して日本は高インフレに見舞われる。」という視座が世論として有力かと思われます。経済にさほど詳しくない俺はその意見に概ね同調していますが・・・。 一つ疑問なのは…

経済成長をドラクエで例えると〜目的無き時代〜

引用開始(一部改変) 661 名無しさん@八周年 2008/03/01(土) 22:52:19 id:JF6529TKO 経済成長をドラクエで例えると、高度経済成長時代は勇者レベルが10〜15位のとき。はがねのつるぎとか買う時代。レベル上げ(経済成長)が楽しくて仕方無い時期。これから…

世界経済の超長期展望

GIF画像で見にくくなっています。画像を見る場合はクリックして下さい。 はじめに この資料は総務省「世界の統計」から抽出した人口統計です。「世界の統計」のベースにあるのは2011年の国連人口統計の中位推計のようです。とりあえず総務省「世界の統計」に…

流動性の罠と日銀悪玉論

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/ko110601a.htm/ 日銀のサイトより一部引用 引用はじめ 4. 人口動態の変化と政策対応 ケインズの視点 次に第2の研究課題として人口動態の問題を取り上げます。ケインズは、1937年に行った「人口減少の経…

永遠に経済を成長させる方法

経済成長が近現代国家の便宜上の最大の目標であり、資本主義による社会システムを維持するためのほぼ唯一の方法です。そこで現代社会を永遠に経済成長させるための方法をとりあえず3つ挙げてみます。 (1)人口減、少子高齢化を止める。 少子高齢化を止め…

GDPの三面等価から単純に経済を考える。

経済とは「人々が労働を社会に供給して、モノやサービスを受け取る単なる物々交換ゲームである。その物々交換ゲームを媒介するものが貨幣である。その需要と供給が増えることが経済成長である。」と俺は単純に考えています。もっと言えば「労働と労働の交換…

ブログの旧ガイドライン その3 経済の考え方

ブログのガイドライン その1 ブログの目次 ブログのガイドライン その2 社会の考え方 経済の考え方 このブログでは複雑な社会を単純化して考えるための第一のフィルターとして「人口動態」に主眼を置いています。人口学に人口転換理論(多産多死→多産少死→…

日本政府は財政破綻するか?!その3

<基礎的財政収支>20年度の黒字化困難 内閣府が試算提出 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120124-00000033-mai-bus_all http://mainichi.jp/select/biz/news/20120124k0000e020158000c.html 内閣府は24日の閣議に「経済財政の中長期試算」を提出し…

将来への期待

「将来への期待」という集団心理が経済に与える影響は非常に大きいと考えられています。「ケインズのアニマルスピリット」や「合理的期待形成学派」など「将来への期待」に関する考え方は様々ありますが、俺はそれらを勉強してもよくわからない。「将来への…

欧州債務危機 その3〜カオスの深淵 by朝日新聞〜

俺は朝日新聞があまり好きではない。しかし、朝日新聞が毎朝俺の家に届くので毎日読んでいる・・・。12月4日から12月6日まで朝日新聞に書かれていた「カオスの深淵」という欧州債務危機を取り扱った記事が非常にうまく書かれていました。「カオスの深淵」を…

リフレ論とベビーシッター協同組合

「リフレ派(リフレーション、インフレーション)」と呼ばれる一大勢力が存在します。リフレ派にも諸派が存在すると思いますが、リフレ派の原理を端的に書くと「お金が無いならお金を刷ればいいじゃない!」という方向性であり、景気回復、経済成長のために…

TPPの是非

TPPのニュースを毎日のように新聞やテレビで見ます。TPPについての俺の考えを忘れないようにメモっておこう。最初に結論を書いておくとTPPに関してはどちらかといえば反対というスタンスです。だが、抗えない世界情勢の潮流の中で恐らく日本もTP…

「国というものがなんだかよくわからない。」

「国というものがなんだかよくわからない」と言った総理大臣が以前いました。その時は「鳩ポッポ、何言ってんだ・・・勘弁してくれよ・・・」と思いましたが・・・。しかし、確かによく考えてみれば「国」ってなんだかよくわからない。「国とは何ですか?」…

欧州債務危機 その2〜誰がお金を返すのか?〜

EUの包括的支援策の受け入れを世界各国がギリシャに迫っています。そして、ギリシャの国民投票が撤回されたようです。また、恐らくギリシャ政府は包括的支援策を受け入れるでしょう。しかし、「ギリシャ政府」が支援策を受けれいたとしても、その支援策の実…

欧州債務危機 その1〜そしてリセッション〜

最近は社会科学ブログから個人的日記ブログになってしまっていたが、久しぶりに社会科学の記事を書いてみよう。 ギリシャの財政危機と世界経済のリセッションのニュースを毎日、目にします。このニュースを聞くと現在のグローバル金融資本主義の中では国家さ…

古典派とケインズ派

近代資本主義を解析する近代経済学は大きく二つの潮流がある言われます。アダム・スミスを祖とし、レッセフェール(自由放任)が生み出す市場のダイナミズムを重視する「古典派」。ケインズを祖とし、政府のコントロールが作り出す市場と社会の秩序を重視す…

侵食される中間所得層

興味を引く記事を見つけたので長いのですが全文引用掲載します。 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/13368 圧迫される世界の中流階級〜先進国に広がる「所得伸び悩み」の恐怖〜 世界経済危機が始まってから3年近く経ったが、大半の先進国ではこのところ…