世界経済の超長期展望
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はじめに
この資料は総務省「世界の統計」から抽出した人口統計です。「世界の統計」のベースにあるのは2011年の国連人口統計の中位推計のようです。とりあえず総務省「世界の統計」による人口推計をベースに今後の世界経済について考えます。これは推計ですが、数ある推計でも人口動態だけは高い確度で実現する最も信頼できる推計だと言われています。
経済成長する国での高齢化傾向
ある試算では、今世紀中には先進国の総人口は減少に達するとの見込みもあります。人口爆発の20世紀から人口停滞の21世紀へ移り変わると見込まれています。(さすがに地球の総人口の減少が今世紀中に起こるとは考えにくいですが・・・)上記の資料を見ると2050年までには先進国、経済成長する新興国のほとんどの国で高齢化が進んでいます。現在の先進国の中位年齢は2000年の37.6歳から2050年には45.6歳と見込まれており、世界全体の中位年齢は2000年の26.6歳から2050年には38.4歳と見込まれています。先進国、新興国のほとんどが2050年には中位年齢が40代に達しています。特に少子高齢化が著しい東アジア(日本を含む)、ドイツ、イタリアの高齢化が顕著です。
人口ボーナス論と経済
近現代社会の経済成長のフローチャートモデル図
日本の人口動態
人口ボーナス論と(主に後発国の)経済成長モデル図
このブログでの社会を考える上での基礎となっているのは、人口動態であり、少子高齢化現象です。経済を考える上で基礎となっているのは人口経済学であり、人口ボーナス、オーナス論です。
人口ボーナスの理論で世界経済を考えると新興国は現在、人口ボーナス期であり今後も成長が見込まれます。しかし2050年までの長期で考えると、やがては全ての新興国は少子高齢化による社会保障費の負担増と経済の縮小の荒波に飲み込まれ、いずれはいわゆる「ジャパンシンドローム」に陥ってしまうのではないでしょうか。飛ぶ鳥を落とす勢いで経済成長を続ける新興国もやがては成長が終わる日が来ます。
「課題先進国」としての日本の役割
かつての新興国日本は「Japan as NO.1!」と言われるほどの経済が絶好調でしたが、ここへきてどうも経済の雲行きが怪しくなってきているのは事実です。現在の新興国も経済が好調です。しかし、2050年までの長期で考えると全ての国が少子高齢化が引き起こす社会問題「ジャパンシンドローム」にいずれは直面することになるでしょう。
日本は世界で最も進んだ国であり、人類が未だかつて経験したことが無い社会(超少子高齢化社会、急速な人口減少社会)へ真っ先に突入する国でもあります。ニュースや新聞で盛んに「課題先進国の日本」が強調されていますが、正にその通りで日本こそが西洋発合理主義、近代社会の世界最先端に到達しています。その世界最先端の社会のなかの我々日本国民こそが、例え何も出来ないとしても、世界で一番未来を考えることが出来る立場にいるのではないだろうかと思います。