蟻の社会科学

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸に、リベラルアーツを横軸に、システム思考を最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。email:arinkoblog@gmail.com

人間の思考を最小のモデルで表現することを試みる その3

 このシリーズも三つ目になりました。人間の思考を表現し、説明し、理解してもらうためには、最小の概念、最小のモデルまで抽象化しないことには、難しいであろうと考えてます。それを試みているのがこのシリーズですが、ほとんど独り言です。

 前回の人間の思考を最小のモデルで表現することを試みる その2の追加になりますが、

認知科学に基づく心と思考の総論
①システム0(無意識、脳幹と関わる)
②システム1(半無意識、大脳辺縁系と関わる、感情的思考)
③システム2(意識、大脳新皮質と関わる、論理的思考)

帰納推論(抽象化、ヒューリスティック、バイアス、スキーマニューラルネットワーク、フレーム問題、閉世界仮説などと関わる。)
⑤演繹推論(帰納推論によって作られた前提から結論を出す。具体化、知識の文脈依存性、知識の相互補完性などと関わる。)

心的表象の表現方法
マインドマップ(活性化拡散モデル、帰納推論に関わる)
⑦ロジックツリー(階層型ネットワークモデル、帰納推論に関わる)
フローチャート(動的構造を表現する、演繹推論に関わる)

具体的ツール
⑨本(インプットに必要)
⑩ノートとペン(アウトプットに必要)

 この10個の概念で説明出来るか?特に重要で、且つ説明が難しいのが、②のシステム1(半無意識)と④の帰納推論なのではないかと考えています。

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【97冊目】「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

 本書はライターとして活躍している著者二人が、文章術のベストセラー100冊から帰納的に要点を抽出し、わかりやすくまとめた文章技術を磨くための本です。
 私も文章が書くのが下手でいつも四苦八苦しているのですが、本書は要点がまとまっていて、とても分かりやすく参考になりました。特に参考になった点を箇条書きしたいと思います。

1位 文章はシンプルに
・削っても意味が変わらない言葉は省略する
・一分の長さの目安は60字以内
・ワンセンテンス ワンメッセージ

2位 伝わる文章には型がある
・結論が先、説明があとの逆三角形が基本

4位 文章は必ず推敲する

7位 接続詞を正しく使う
・必ず入れたいのは逆のことを書く場合(逆接の時)

9位 「正確さ」こそ文章の基本

11位 主語と述語はワンセット
・主語と述語はなるべく近づける

13位 「、」「。」をテキトーに打たない

15位 とにかく書く、たくさん書く

16位 わかりにくいと思ったら修飾語を見直す

25位 書き始める前に考える

30位 考えるために書く

 文章の書き方について、なんとなくわかっているつもりだったり、考えているつもりでも、上記のように明確に言葉で示してもらうと、自分が全くわかってなかったということを理解できます。とにかく一番大事なのは15位の「とにかく書く、たくさん書く」ということだろうと思います。最初からきれいな文章を書こうと考えるのではなく、たくさん書いて、推敲するということが一番重要なのではないかと思います。

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あなたは私を地球人だと思っている~帰納推論と蓋然性~

 今、画面の向こうでこの文章を読んでいるあなたは、私を地球人だと思っていることでしょう。いや、余りにも馬鹿馬鹿しく、当たり前すぎて意識することもない無意識の前提として私を地球人だと思っていることでしょう。しかし、何の根拠があって私を地球人だと思っているのでしょうか。それはあなたの勝手な思い込みではないのでしょうか?あなたが知らない宇宙文明が存在し、そこから宇宙船に乗って私が地球に来た可能性がゼロだとどうして言い切れるのでしょうか?


 電波を飛ばしまくりの文章を書いてしまいましたが、帰納推論について簡単に書いてみたいと思います。私が宇宙人か地球人かなんて考えるのも馬鹿馬鹿しいかと思います。宇宙人である可能性がゼロではないにしても、帰納的に様々な情報を統合し常識的に考えた場合、私が地球人である蓋然性(もっともらしさ)は極めて高いと言えるかと思います。
 ここで論点にしたいのは、私が宇宙人か否かではなく、あなたが私が地球人であるという前提を無意識の内に作り出しているという点です。もっと言えば、人が大量の情報を無意識下で選別して、統合し、様々な前提を作り出しているという点です。例えば「道路に地雷が埋まっていない」「ファミレスで頼んだランチに毒が入っていない」「明日太陽は爆発しない」など、あり得そうもないことは無意識で無視し、これまでの経験からなんとなく無意識に作り出された前提を基に人は行動をしています。
 しかし、この「あり得そうもない」や「当然のこととして意識することもない」という線引きは人によって大きく違います。私が宇宙人かどうかという上記の問題は「あり得ない」とすぐに判断を下すことは出来ますが、日常生活の中では「あり得そうもないこと」や「当然のこととして意識する必要もないこと」の線引きは常に曖昧でグレーです。

・景気が悪いのは政治のせいだ。
本能寺の変が起きた原因は何か?

 上の例は、政治が悪いという前提、原因のもとに、景気が悪いという結論を出しています。しかし、政権が何度変わっても景気が良くならないのに、政治だけが原因の全てなのかという疑問が浮かびます。政治というフィルターを通した解釈以外もあり得るのではないかとも思います。下の問いは明確な答えは特にありません。織田信長が原因かもしれませんし、ビッグバンが起こり、地球が誕生し、人類が誕生したことが本能寺の変の原因と言えなくもないかと思います。即ち、前提や原因というものは常にグレーで、絶対的な答えがあることの方が少ないのではないでしょうか。
 私たちは様々な情報を無意識下で選別し、統合し、前提を作り出しています。しかし、それらは全て自らの知識と理解が及ぶ範囲で「あり得そうもない」とか「当然すぎて意識することもない」と無意識に判断しているだけである、という点は常に留意する必要があるのではないかと常々考えています。
 

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因果論的要素還元主義

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人間の思考を最小のモデルで表現することを試みる その2

 人間の思考を最小のモデルで表現するとどうなるだろうと考えていたが、ここに「帰納推論」「演繹推論」という言葉を用いることでうまく表現できるのではないか最近考えている。

脳と心の構造を

システム0(無意識)
システム1(半無意識、感情的思考、速い思考)
システム2(意識、論理的思考、遅い思考)
で表現し、

思考の内容というか方法論を

帰納推論(情報を統合して概念や前提を作る。抽象化)
演繹推論(概念や前提から結論を出す。具体化)
で表現する。

この最小限の概念と言葉で人間の思考の説明が付くのではないか?

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脳と心のモデル
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帰納推論
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演繹推論
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【96冊目】縁食論 孤食と共食のあいだ 藤原辰史

縁食論

縁食論

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 本書は京都大学教授で農業史、食の思想史を専門とする藤原さんの食に関するゆるめのエッセイ集です。「食」を根源的テーマとして、「食」というコンテキストに含まれる人と人との様々なゆるい関係性を「縁食」と名付け、縁食という概念を通して現代社会の人間関係の希薄性や市場原理を批判的に描き出しています。
 衣食住のうち、衣と住は無くてもすぐに死ぬことはありませんが、食は生命に直結するまさに命の源と言えるものです。原始時代より人々は火を囲み、共に命の源である食事を取ることで、同じコミュニティの人々と時間と空間を共有し、縁を紡ぎ、社会を作り続けてきました。食事というものは、個人にとっての生命の源であり、また社会にとっては縁とコミュニティを紡ぎだすための一つの儀式であり、装置としての役割を持っています。このように個人と社会を支える根源的な物質である食糧というものは、安価で提供されて然るべき一種の公共財と考えることもできるかと思います。
 公共財のような性質を持つ食糧ではありますが、現代の市場原理が支配する経済においては公共財のような性質は消え失せて、オートメーション化された食糧の供給システムの中で、毎日有り余るほどの食料が作られ、また廃棄され、金銭で売買される消費財としての性質しか持たなくなりつつあります。市場原理が限界まで浸透して格差がどんどん開いていく現代社会においては、大飢饉などで食料が市場から枯渇したわけではなく、決して食べるものがないわけではないにも関わらず、子ども食堂やフードバンクなどの支援を受けることでようやく食事にありつくことが出来るような人が増えつつあります。(決して食に関する産業を批判しているわけではありません。このような構造は食に関する産業だけの問題ではなく、現代社会が持つ構造的な問題です。)
 著者の視点は、行き過ぎた近代化によって、社会から孤立し、食事という最低限のサービスにすらありつくことが出来ない人々が増加する社会をいかに支えるかになるかと思います。「縁食」というゆるい柔らかな概念の基に、子ども食堂や無料食堂などのサービスを用いたり、食を基に「縁」を紡ぎだす活動を通じてどのようにして支援していくのかということになるかと思います。
自分の魂を鍛え、キャリアアップをし、社会に貢献するという自立した近代市民モデルではなく、不完全であることを前提に同質化圧力の弱い場所に漂い、偶然性に身を任せ、お互いにある部分を依存し合いながら、乗り越えられそうだったらチャレンジしてみて、無理だったら投げる。場合によっては投げたものを誰かが拾う。誰か、とは、自分のやや苦手な人物である可能性もある。強い心を持ち、チャレンジ精神を忘れない「近代市民」からすれば、なんとも情けない受け身の乗り越え方かもしれないが、自立的発展に疲れた人間には、この偶発的な展開はそれほど負担がない合理的な展開なのかもしれない。
P141 第4章 縁食のにぎわい より引用


 このブログは「近代化とアトミズム」を一つの主題しています。近代化が持つ合理性という力が、人と人との関係性を全て数字という空疎なものに変換してしまい、やがて人々は寄る辺を無くしたアトム(原子)のように社会を漂う、という過去の思想家たちの不吉な予言が体現されつつある現在の日本社会において、本書が指し示す方向性は非常に共感できるものがありました。
 「食」という人間にとって最も基本的な行為からのレンズを通して、現代社会を柔らかく見つめる文体の中に、著者の非常に深い洞察を感じれらます。

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人間の思考を最小のモデルで表現することを試みる

「Aという事象 1→2→3→4→5→6→7」

 上記の1から7までのプロセスの事象があるとします。誤解を恐れずに極めて大雑把に表現すると、この事象に何かしらの名前を付けること(ここではA)を帰納法(抽象化)と呼び、1から7まで順序立てることを演繹法(具体化)と呼びます。この二つの機能が人間の思考の根幹と言えるでしょう。

 しかし、人間の脳はこの二つの機能をうまく使いこなすことが出来ません。その理由を下記にて記述します。

(1)7つの要素を全て発想することが出来ない
ここでは「1から7までのプロセス」と定義しているので1から7までの個々の要素を発想するのは簡単ですが、定義されていない状態では全ての要素を発想することは意外と困難です。37から62までのプロセスなのか、KからWまでのプロセスなのか、0から138億までのプロセスなのか、そもそもプロセスの総数自体が定義されていないと要素を全て発想することは難しいものだと思います。そして、プロセスの総数自体が事前に定義されていないことはよくあります。

(2)事象に名前を付けることが出来ない(帰納出来ない)
ここでは事象に「A」と名前を付けて抽象化していますので、Aという事象を認識することは簡単です。しかし、(1)のようにプロセスの総数が定義されておらず、要素を全て発想できていない状態であれば、そこに何らかのパターンを有した事象が存在していることを認識し、その事象に名前を付けて抽象化することは難しいかと思います。

(3)順序立てることが出来ない(演繹出来ない)
(1)の状態によって全ての要素を発想出来ておらず、(2)の状態により事象に名前を付けて認識できていない状態の時、脳内では「 2  7  4 」というように断片化された情報が順序立てられないままに脳内を漂っています。その断片化された情報を「2→7→4」というように名前を付けることもなく無理矢理順序立てているのが、人間の思考であると言えるのではないかと考えています。

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