蟻の社会科学

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸に、リベラルアーツを横軸に、システム思考を最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。email:arinkoblog@gmail.com

認知科学

【95冊目】ロジカルシンキングを鍛える 細谷功

ロジカルシンキングを鍛える (VISIONARY SEMINARS)作者:細谷 功KADOKAWA,中経出版Amazon 著述家でコンサルタントで、論理的思考に関する多数の本を上梓している細谷功さんの「ロジカルシンキングを鍛える」という、そのまんまの本です。 本書の内容ははっき…

【94冊目】ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治

ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)作者:宮口幸治発売日: 2019/07/26メディア: Kindle版 本書は児童精神科医の著者が医療少年院で多くの非行少年と出会い、そこで得た知見をベースに、非行少年の認知能力の実態や、認知能力の改善を目指したトレーニ…

灰色の世界と認識の有限性

そもそも、世界は始まりも終わりもなく、白も黒もない灰色の世界であるが、人間は灰色を認識することが苦手である。灰色の世界を自分の好きな範囲だけ切り取って、白か黒か論じている。その切り取った部分には部分的には白っぽい部分も黒っぽい部分も含まれ…

内発的動機と形式陶冶(学習転移)

僕は教育者でも何でもない素人です。しかし、教育についてよく考えることがあります。人を教育したいというわけではなく「6334の16年も高い学費を払って勉強したのに身についているものがなぜこんなに少ないのか?」という点に強い疑問を持ち、以来教育とは…

因果論的要素還元主義

僕の思考は基本的には因果論的要素還元主義の立場に近いと思っています。事象の因果律を抽象と具体を往復しながら概念化し、モデルに変換して考えるシンプルな思考法です。ただ、これが絶対的に正しい方法とも善だとも考えていません。 因果律なんてありとあ…

【90冊目】大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学 ブライアン・カプラン

大学なんか行っても意味はない?――教育反対の経済学作者:ブライアン・カプラン発売日: 2019/07/17メディア: 単行本 恐らく、かなり多くの人がこう思っているのではないか。思っていてもなかなか触れられないデリケートなこの問題に、真正面からド直球で挑戦し…

【87冊目】ごまかし勉強(上)(下) 藤沢伸介

ごまかし勉強〈上〉学力低下を助長するシステム作者:藤澤 伸介発売日: 2002/03/01メディア: 単行本ごまかし勉強〈下〉ほんものの学力を求めて作者:藤澤 伸介発売日: 2002/03/01メディア: 単行本 学校に行きたくありません。特に理由はないです。学校に行って…

システム0とシステム3~二重過程モデルを超えて~ 山根一郎

システム0とシステム3~二重過程モデルを超えて~ 山根一郎 素晴らしい論文を見つけました。二重過程モデルのシステム1とシステム2を、システム0とシステム3まで拡大して分析し、仏教への言及もあります。これを素晴らしいと思うのは、考えが近い僕の…

新人が定着しない職場の特徴「指導方法は見て覚えて。メモも取れない速さで話す。聞き返すとムッとされ無視される」

【キャリコネ】新人が定着しない職場の特徴「指導方法は見て覚えて。メモも取れない速さで話す。聞き返すとムッとされ無視される」 【キャリコネ】新人が定着しない職場の特徴「指導方法は見て覚えて。メモも取れない速さで話す。聞き返すとムッとされ無視さ…

トゥールミンモデル

科学哲学者のスティーブン・トゥールミンが、論証のパターンの枠組みのもっとも基本的な形として表したのが上記のトゥールミンモデルです。データや事実から根拠を抽出し、別のデータで裏付けつつ主張へ至るプロセスを骨子とし、そこに限定子(可能性)や反…

リベラルアーツを構成するヘキサゴン

おそらく、この六つのカテゴリーがリベラルアーツという概念を構成する領域になるのではないかと思います。 すべての領域は単体で存在することはできず、このヘキサゴンの相互的な関係性の中で存在しているのではないかと考えます。

教育と認知科学

この記事は以前の記事「ブログの新ガイドライン(2)無知の知~私の中のミクロコスモス 脳と心と思考~」を下敷きとしています。興味にある方はそちらもあわせてご覧ください。はじめに 私は教育者でもなく、アカデミックの学識者でもなく、ただの素人です…

事象の認識と問題の発見

思弁的で抽象的な思考実験のような話になりますが、事象の認識の複雑性について考えたいと思います。 「A→B」という因果関係の事象があるとします。この事象を心の中で思い起こす時、心はどのような働きをするでしょうか。「「A→B」を思い起こすなんてそ…

頑張るベクトル 諦めるベクトル

matome.naver.jp 文中より引用、抜粋 大人の発達障害の傾向 (1)注意散漫で、他人の話を最後まで聞けない。 (2)オーガナイズすることが苦手で、集中力を必要とするタスクを避け、またはタスクを完結できない。 (3)よく物をなくしたりして忘れっぽく、す…

無知の知と絶望

あえて説明する必要すらないかもしれないが、「無知の知」とは、古代ギリシャの哲学者ソクラテスの言葉である。「自分は何でも知っていると思い込んで、自分だけの小さな世界に閉じこもっていたらつまらないよ!自分が何も知らないということを認めて、世界…

【79冊目】選択の科学 シーナ・アイエンガー

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)作者:シーナ アイエンガー発売日: 2014/07/10メディア: 文庫 認知科学、認知心理学、行動経済学などをベースとして、「選択」という行為にフォーカスした好著。各人の文化的背景がどのように選…

第14章 論理的思考 その5 ~説明と理解について~

この章では「説明」について検討したいと思います。人に何かを説明するという行為は、論理的思考力、コミュニケーション力など、知的能力が最も試される分野だと思います。 上記のモデル図を例に、「野球」というものを全く知らない人に説明するには、どのよ…

第20章 前頭葉

この章では脳の前方に位置する前頭葉(前頭前野)の概要について検討したいと思います。二重過程モデルのシステム2についての、さらに詳細な説明となります。 前頭葉はシステム2の最高意思決定機関であり、システム0、システム1から発生する思考を統率す…

因果のABCモデル

物事の概要というのは A→B、またはA→B→Cという単純なモデルで、ある程度までは考えることが出来るのではないかと思う。いや、むしろ最初はこれぐらい単純なモデルから考え始めるほうがわかりやすくていい。このモデルに7W1Hや原因、根拠、手段、目的などを…

ケインズの言葉

「事実が変われば、私は考えを変えます。それが何か問題でも?(笑)」 20世紀の知の巨人、ケインズの言葉です。このシンプルで、軽やかで、シニカルな言葉の裏にとてつもない重みを感じます。人は事実を確認する前に、思い込みによる自分の考えを絶対視し…

引きこもり問題について

昨今の引きこもり問題のニュースを見ていると、この問題は社会科学と認知科学をメインとするこのブログの核心に近い問題だなと思います。・社会的背景から引きこもりの現状を考える(社会学) ・社会と個人の関係を考える(社会心理学) ・引きこもりの人の…

蓋然性と灰色の世界 ~ヒューリスティックの根幹~

ガイドライン追記用の記事です。第16章 蓋然性と灰色の世界 ~ヒューリスティックの根幹~ 上記の図をパッと見たときに①~③のどの答えを選択するでしょうか。答えは見てみないとわからない以上、③を選択するのが正しい答えと言えるかと思います。しかし、…

【73冊目】個性を捨てろ!型にはまれ! 三田紀房

個性を捨てろ! 型にはまれ! (だいわ文庫)作者:三田 紀房発売日: 2009/08/10メディア: 文庫 ドラゴン桜の作者が書いた本ですが、タイトルで秀逸な結論が出ています。 現代人は「自由」「個性」「オンリーワン」などと言う、よくわからない概念こそが素晴らし…

論理的思考が身につかない理由

本記事は以前の記事を土台としており、本記事の詳細についてはその記事を参考にしていただきたいのですが、論理的思考が身につかない原因というものを軽く考えてみたので書いてみようと思います。 世の中には「論理的思考を鍛える方法」が書かれた本はたくさ…

【72冊目】社会心理学講義<閉ざされた社会>と<開かれた社会> 小坂井敏晶

社会心理学講義:〈閉ざされた社会〉と〈開かれた社会〉 (筑摩選書)作者:小坂井 敏晶発売日: 2013/07/18メディア: 単行本(ソフトカバー) 以前からこの本が欲しいなと思いつつ、ずっとamazonのカートに入っていたが、たまたま友人がこの本を持っていたので譲…

マインドマップと拡散的思考

人間の思考について研究を行ったアメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードによれば、人間の思考には2つの側面があるとしている。1つは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達するための収束的思考、もう1つは既知の…

灰色のスペクトラム

僕が人間の思考を勉強し始めたとき、特に理解が難しかったのが ”人間の思考は灰色のとても曖昧なスペクトラムで線引きが非常に困難” という点でした。「考えている」と「考えていない」の間に明確な線を引くことはできず、「知っている」と「知らない」の間…

ブログの新ガイドライン(2)無知の知~私の中のミクロコスモス 脳と心と思考~

第一部 システム0とシステム1~ 無意識と感情 ~ 第1章 はじめに このブログは社会のことを考える社会科学なのですが、ここ2~3年は認知科学に興味の中心が移りました。認知科学とは人間の知覚、記憶、思考などの知的機能の仕組みを、脳科学、心理学、…

仕事を覚えられない人と仕事を説明できない人

抽象的なことばかり書いていてもあれなので、たまには具体的で実生活の役に立ちそうなことを書いてみようと思います。 「仕事を覚えられない。」「仕事をうまく教えられない。うまく説明できない。」という悩みはいつの世も絶えることはありません。また同時…

知識と思考

最近は認知科学の記事ばかりですが、今年は認知科学の研究に費やす決意をしたのだった・・・。つーか自分が何なのかわからないw 人間の思考というのは知識という土台があってこそ初めて成り立つものであり、知識と思考のハーモニーが重要だと思います。思考…