蟻の社会科学

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【82冊目】大衆の反逆 オルテガ・イ・ガセット

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)

(前略)すなわち、十九世紀によって組織づけられた世界は、自動的に新しい人間を生み出したが、その際、その新しい人間に、恐るべき欲求とそれら欲求を満足させるためのあらゆる面に関する強力な手段とを与えた。つまり、経済的手段、肉体的手段(衛生状態と平均的健康状態はそれまでのすべての時代に優っている)、市民的手段および技術的手段(技術的手段と言う言葉を、わたしは、過去の平均人にはなく、今日の平均人にはある、あの実用的な効力を持った膨大な部分的・具体的な知識と言う意味で用いている)がそれである。十九世紀は、平均人に前述のようなすべての力を与えた後で、彼を野放しにしてしまったのだ。ところで、平均人は彼の本質的な傾向に従って自分の中に閉じこもってしまった。かくしてわれわれは、かつてのいかなる時代の大衆よりも強力な大衆、しかし、従来の大衆とは異なり、自己の中に完全に閉じこもってしまい、自分は自足しうると信じ込み、何者にも、また誰にも関心を払い得ない(要するに手に負えない)大衆人と出会うこととなったのである。(後略)
 
 オルテガ・イ・ガセットの不朽の名作。上記の部分が本書の核心だと思い抜粋した。
 現代人はありとあらゆるものを手に入れた。食料、医療、衛生、経済、技術、そして、自由と権利も。それらがあまりにも当たり前すぎて、みんなどうとも思わなくなった。しかし、現代人はそれが当たり前だと勝手に思っているだけという見方も出来る。この豊かで満たされた社会はせいぜいこの50年で成立した社会でしかない。それが永遠に続くとみんな勝手にそう思っているだけなのかもしれない。もちろん続けばいいし、そう望んでいる。

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