
フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか
- 作者:ダニエル ピンク
- メディア: 単行本
現代社会は全てがガチガチに設計されている。人の生活から人の一生まで。全てが機械を組み立てるかのようにガチガチに設計されています。効率的な都市計画によって設計された都市に住み、効率的に設計されたマンションから出勤し、徹底的に計算されたダイアグラムを持つ混み合った電車で会社へ出勤します。会社へ行けば、まずタイムカードを押して自分の勤務時間を会社の総務部へ委ね、そして会社の行動マニュアルに則りながら、一日の仕事をこなします。そしてまた電車に乗って家路に着きます。そして会社から得られるであろう賃金を計算しながら、結婚相手を見繕ったり、子供の数を決めたり、貯金をしたり、住宅ローンを組んだり、保険に入ったり、年金の皮算用をしたり・・・人は自分の人生を合理的にガチガチに設計していきます。
この「全てをガチガチに設計する社会と個人の人生」こそが現代社会の決定的特長であり、この合理主義、設計主義こそが先進国をここまで豊かにした決定的要因であります。この徹底的な設計主義社会で死ぬまで安定を得られるのであれば、その設計主義的人生に人生を賭けるのも悪い話ではないと思います。しかし、この設計主義社会もそろそろ終わりが近づいているような気がします。リーマンショックや少子高齢化、ニートの誕生など。。。
社会丸ごとテイラー主義(科学的管理法)!人生丸ごとテイラー主義!そんな時代が終わろうとしている今後、どのような社会が到来するのか?それに対して様々な考察が本書では記述されています。
要点を3つだけ書くと
「(未来が不安定な現代は)もはや誰もが臨時労働者である。」
「(これからの時代は)特定の目的のために特定の場所に人材が集結して、使命が終わると解散し、メンバーはそれぞれ次のプロジェクトに向かっていく」
「大勢の個人を常に戦力として抱える固定的な大組織は、戦力が常に入れ替わる小規模で柔軟なネットワークに取って代わられようとしている。」
僕なりに一言で要約しますと
「円から縁へ。円が縁を作るのではなく、縁が円を作る時代」ということになるのでしょうか。金銭の交換だけで動く社会が終わり、非営利的な活動が主役になる社会が来るのかもしれないなと思います。