著者の山口氏は
コンサルタントとして活躍し、近年はビジネスという枠組みを飛び出して、資本主義後の社会への展望へ軸足を移しているかのように見受けられます。今回の著書の帯には「新しい時代を創るために資本主義をハックしよう」と書かれていますが、資本主義を真正面から批判的に解釈し、正に資本主義後の社会が目指すベクトルを構想しています。
前半で私の言葉と見解を交えながら本書のサマリーを書いて、後半に私の意見を書きたいと思います。
私の言葉を交えたサマリーですが、かなり本書の内容を曲解しているかもしれませんが(汗)、大意と方向性はそれほど違わないと思います。
著者が言う通り、恐らくこれ以上社会が豊かになるのは難しいのではないかと私も感じます。永遠の命、恒星間宇宙旅行、タイムマシンなど開発されれば、まだ経済は拡大するのかもしれませんが、現実レベルではこれ以上物質的に豊かになるのも難しいのではないでしょうか。しかし、永遠の成長という宿命を背負った資本主義社会を維持するためにはどういう形であれ、経済的拡大を目指すしかありません。大きくなりようがないものを無理やり拡大させようとする中で、過労死やパワハラ、正規と非正規の格差問題など様々な労働問題が生じ、幸福感と下手をすれば人間としての尊厳さえも棄損しているのかもしれません。
筆者が言っていることはもっともで、特に反論もありませんが、問題は具体的にどのようにしてこのような社会を実現するのかという手段の問題になってくると思います。私には特に具体策は思いつきませんが、非営利的活動いわゆるNGO、NPOの活動が重要になってくると考えています。「子ども食堂」「フリーマーケット」「クラウドファンディング」など、営利を全く目的としていないわけではないが、「営利より、その活動そのものに価値を置き、かつ安価に利用できるサービス」というのが、今後の経済において大きな役割を果たしていくのではないかと考えます。
遠い将来、社会全体がそのような方向性へ舵を切る時、本書が示すベクトルが社会的ドメインになってくるのではないかと感じます。
