「デフレの正体〜経済は人口の波で動く」 藻谷 浩介著
経済学は未だに人口を「与件」として考え、静学的に経済社会を捉えられている面が強く、動学を組み込んだ経済学は主流にはなっていないのではないだろうかと思います。というか「少子高齢化」という動学を組み込んだ場合、長期的には経済学はもはや権威を失ってしまうのではないでしょうか・・・?
少し前に話題になった本書について。本書は評価も高いが一部からは「経済学的に見るとトンデモ本」との評価もなされています。それはそうだろう。なぜならこの本は「経済学」の本ではなく「社会経済学」の側面があるので、経済学という切り口で見たときに間違っている部分もあるでしょう。
社会経済学は経済学に、政治学、人口学、社会学、哲学などの様々な社会的な要因を組み込む(または社会の一部としての経済を捉える)という極めて複雑な、体系化することが非常に困難と思われる学問です。社会経済学は社会の中の流動化する要因を重視するので、新古典派が想定するような「合理的な経済人」や「理論ありきの経済学」に批判的であるという特徴を持っています。本書の中で著者の藻谷さんが既存の経済学に対して批判的であり、また一部からこの本がトンデモ本と言われるのは 「社会経済学vs経済学」 という構造と同じなのではないだろうかと思っています。
本書の概要を端的に書くと「人間が減る=モノやサービスが売れる数が減る=デフレ」という統計データを示し、人口減の問題点や今後の対策等述べています。俺も「少子化と社会」について色々考えている身なのでこの本の内容について同意できる点は多々あり、良書だと思います。(俺のブログの今後方向性もこの本の内容を追随、深化させ、あさってに向かって展開することになると思います。)この本の最大の評価すべき点。人口減とデフレについては先端の研究者がすでに研究を尽くしていると思われますが、その研究を平易な内容にして世に知らしめたこと。これがこの本の最大の評価すべき点だと俺は思います。
惜しむらくは文章構成がややわかりにくいような。

- 作者:藻谷 浩介
- 発売日: 2010/06/11
- メディア: 新書
追記 2011/5/21
札幌の教員が藻谷氏を提訴 「ブログで中傷」−北海道新聞[道内]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/291824.html
| ブログへの書き込みで名誉を傷つけられたとして、札幌市在住の高校教諭の男性(46)が、昨年出版されたベストセラー「デフレの正体」の著者で日本政策投資銀行参事役の藻谷浩介氏に慰謝料60万円を求める訴訟を起こし、11日、札幌地裁(石橋俊一裁判官)で第1回口頭弁論があった。藻谷氏側は請求棄却を求めた。
| 訴状によると、男性は昨年7月、自身のブログで同書について「経済学的にみて間違いがある」とする批判を掲載し、発行元の角川書店に通知。その後、藻谷氏から「あたまでっかち」「自慢できるのは理論だけ」「死んで子供に財産でも残せ」などと書き込まれ、精神的苦痛を受けたとしている。藻谷氏側の代理人は「ノーコメント」としている。
いくらなんでも切れ過ぎでしょうw