蟻の社会科学

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景気が回復すれば失業は減るか?〜フィリップス曲線〜

「インフレ率と失業率はトレードオフ(バーター)である。」 
 フィリップス曲線の理論を根底から覆してしまうのがこれからの時代です。それは「高齢化による労働人口減少」と「働く意思を持たない人の増加」です。

「高齢化による労働人口減少」
 「生産年齢人口」の内部では景気の好悪により失業率は上下するでしょう。しかし「総人口」で考えると話は全く違います。高齢化する社会では景気の好悪とは全く関係なく働くことが出来なくなる人がどんどん増えていきます。「働く意思はあるけど景気に左右される非自発的失業」ではなく、「働く意思が無いわけではないが歳を取って働くことが出来なくなった非自発的無業者」がどんどん増えていきます。もはや労働問題、失業問題を景気循環で考えることが出来ない時代になっていきます。(例えば景気が良くなったからといって85歳の人が「よっしゃー働くぞー!」ということにはならないということです。)


「働く意思を持たない人の増加」
 マックスヴェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に基づくと近代資本主義の前提の一つに「人は働く意思を持っている。」という考えがあるかと思われます。人が働く意思を持っているというのは当たり前過ぎて疑問の余地もありません。しかし、豊かさを究極まで実現してしまった現代(近代の終着点)は「ニート」や「生活保護不正受給者」という「働く意思を持ち合わせない人」をどんどん増やしていっているのではないかと思います。フィリップス曲線や経済学の根底を揺るがす時代になったのかもしれません。


まとめ
 「景気と失業率は相関性がある」「人は働く意思を持っている」という当たり前過ぎて議論の余地もない常識さえもこれからの時代は揺らいでいくと思われます。経済学は議論の余地もないと思われる事実を前提に合理的モデルを構築しているので、その前提が揺らいでしまった時には全く対応出来ないのかも知れません。経済学の精緻な合理的モデルを補完するのが社会学行動経済学などの学問なのだと思います。
 結論。フィリップス曲線で示される「景気と失業率の関連性」は、「生産人口と景気循環」というミクロ視点のモデルの中では通用するけど、「総人口と生産人口の減少」というマクロ視点で見れば全く関係がないのかもしれない!


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