蟻の社会科学

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【98冊目】はじめてのGTD ストレスフリーの整理術 デビッド・アレン

 「タスクマネジメント」という概念を世に知らしめたのは本書ではないだろうか。生産性向上コンサルタントのデビッド・アレンが、人々が抱える膨大な「タスク(やるべきこと)」をいかに管理するかの方法論を、GTD(Getting Things Done=仕事を成し遂げる)という言葉で示したのが本書である。
 この超高度情報化社会を生きる現代人は、仕事の上でも、プライベートでも膨大な「タスク」を抱えている。仕事では捌ききれないメールが未読のままに蓄積していき、一つのことが終わる前に三つの仕事が舞い込んでくる。プライベートでは家事や育児、家計の計算やローンの支払い、様々な契約の更新など、把握しきれないタスクによって毎日忙殺されている。
 しかし、悲しいかな、人間の短期記憶(ワーキングメモリ)はせいぜい4つしかなく、3~4つのタスクを抱えるとすぐにパンクしてしまう。当然、タスクの数が3~4つで収まるはずはなく、多くの人は仕事やプライベート合わせて、数十、数百のタスクによって身動きが取れなくなっていることも多いのではないだろうか。認知科学の研究によると、人間の脳は大量のタスクを抱え込むと「何をやるべきか?」ばかりを、重い気持ちのままに、答えも出ぬままグルグル考え続けてしまう。わずか4つのワーキングメモリはそのことだけで占められて、実際の作業は行えなくなり、作業効率が ”壊滅的なまでに悪くなる” そうだ。
 その問題の解決策とは、ズバリ「全てを書き出す」ことである。紙、エクセル、タスクマネジメントツールなど、何らかの外部メモリにやるべきタスクを全て書き出すことで「何をやるべきか一切覚えていない状態」を作り出すのが、GTDの核心である。「書き出す→検証する→実行する→書き出す→検証する→実行する…」このサイクルを作り出すことで、タスクは常に外部メモリに全て書き出された状態になり、脳のワーキングメモリを常に空っぽの状態にしておくことが出来る。すると脳は4つのワーキングメモリを全て「目の前のタスクの実行」に使用することが出来るようになり、作業効率は ”劇的に改善される” 。
 本書は約13年前の本であり、外部メモリに紙を使用しているが、現在では様々なタスク管理ツールがあるので、それらを使用するとさらに効率が上がると思われる。しかし、紙に書き出すという原始的な手段も、現在でもかなり有効な手段だと思っている。紙に書き出すのと同時に、タスク管理ツールを組み合わせるのも非常に有効だと個人的には思う。
 タスクマネジメントは優秀な人でなければ出来ないというものではない。GTDの手順に沿って、一つずつマスターしていけば、このスキルを身に付けるのはそれほど難しいものではない。とにかく、このあまりにも複雑化した現代社会では、膨大なタスクに圧し潰され、心身が耗弱している人が多いと思う。現代社会を生きていくためには「タスクマネジメント」は、今後、必須スキルになっていくのではないだろうか。

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