蟻の社会科学

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【89冊目】ブルシット・ジョブ~クソどうでもいい仕事の理論~デヴィッド・グレーバー

 2020/11/8現在 Amazonの経済思想カテゴリで1位となっているブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)というとても挑発的なタイトルの書評を書いてみたい。
 まず、ブルシット・ジョブとは、「本人でさえ正当化できないくらい完全に無意味・不必要で有害でもある有償の雇用の形態であるが、本人はそうではないと取り繕わなければならないように感じている仕事」と定義している。具体的には

1 フランキー(取り巻き)の仕事 ・・・太鼓持ちのような仕事
2 グーン(脅し屋)の仕事・・・押し売りのような営業
3 ダクト・テーパー(尻ぬぐい)の仕事・・・システムのミスなどを処理する仕事
4 ボックス・ティッカー(書類穴埋め人)の仕事・・・書いて字のごとく
5 タスクマスター(ブルシット・ジョブ量産人)の仕事・・・仕事を割り振りする中間管理職

と定義している。

 僕はどのような仕事がブルシットジョブで、どのような仕事がブルシットジョブではないという定義はできないと思うし、感情的にはしたくもない。(本書でも著者のグレーバーは特定の職業をブルシットジョブとは言っていない。)しかし、このブルシットジョブという概念が現代社会において決して無視できないものを含んでいることも確かだと思う。
 資本主義社会は「永遠の経済成長」を前提としているので、どのような形であれ何かしら拡大し続けなければ社会を維持することができない。そのために資本主義が始まって以降、様々な製品やサービスが生まれてきた。様々な製品やサービスが生まれる過程において、「それは本当に必要なのだろうか」という仕事が生まれていることもまた事実なのではないか。特に近年においては経済の成長率も低下しているので、経済を維持するために金融市場に莫大な金を流し込み、金融市場を経由して実体経済に無理やり金を流し込む。そして経済を維持するために、必要かどうかは関係なく、新しい製品、新しいサービスを開発し続け、人々が欲しがるように宣伝し続ける。そんなサイクルの中で「ブルシットジョブ」という概念が生まれるのは必然なのかもしれない。
 このコロナ禍で経済の虚飾が剝ぎ取られ、上記のような現代社会の本質の一部を垣間見せられたような気がする。本書が人気を博しているのはこのような背景があるのだろうか。

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