20世紀を代表する思想である「構造主義」の発生から「ポスト構造主義」への変遷を、古代ギリシャ哲学、近代哲学、または構造主義とクロスオーバーする様々な思想を交えながら解説した良書です。
20世紀中盤、ある哲学者と文化人類学者の間で論争が起こりました。人間の理性と主体性を強調する実存主義の哲学者サルトルに対して、この世界に存在する目に見えない「構造」が人間の思考をある程度規定して影響を与えているという、客観性と全体性を強調する構造主義の文化人類学者レヴィ・ストロース。この論争はレヴィ・ストロースが勝利することとなり、構造主義はやがて20世紀の思想の主役に躍り出ました。20世紀後半になると、構造主義のどちらかというと事象を静的に考えるアプローチに対して、事象のダイナミズムを重視し、柔軟な動的アプローチで構造主義を乗り越えようとするポスト構造主義が現れて現在に至っています。
20世紀の哲学の概要を歴史的背景など多角的に初心者向けにわかりやすく解説しているのが本書です。哲学初心者の私は初心者向けの本を結構読みましたが、本書は近現代の哲学への導入としては一番わかりやすい本なのではないかと思います。