資本主義はその原理上、永遠の拡大再生産という宿命を定められています。資本主義を社会システムの土台としている現代社会は成長が止まってしまったら、社会を現状維持することさえ困難になってしまう。その永遠の拡大再生産を続けるために必要な大きな要素の一つとして「人間の強い欲望」があります。「豊かになりたい!」という人間の願望こそが永遠の拡大再生産を実現し続けるために必要不可欠な要素の一つと言えるでしょう。
「豊かさはお金だけじゃない!」という真理は確実に存在します。しかし、世界中の人がそう思ってしまったら「人間の強い欲望」をエンジンとする現代社会は崩壊してしまうという、実にもどかしいパラドックスが存在しています。「豊かさはお金じゃない。のんびり暮らそうよ」という素朴な願望を社会で実現しようとしても、資本主義社会はそのような素朴な願望を決して許しません。
「永遠の拡大再生産の宿命」と「お金だけではない豊かな暮らしへの願望」の狭間で漂流し続ける現代社会は一体どこへいくのだろうか。