「世界システム論」で知られるウォーラーステインの入門書。ウォーラーステインの視点は「国家」と「国家」の関係性に向けれれているのではなく、地球(グローブ)の中に存在する「世界システム」へ一元的に巨視的に向けられている。
ウォーラーステインの「世界システム論」を俺なりにまとめてみる。
①「世界=経済」である。「資本主義」も「社会主義」も「共産主義」も全ては「世界=経済」の中に内包されている一つのシステムに過ぎない。
②地球の歴史という唯一無二の時間の流れの中で生まれた「近代化という超長期波動」が世界システムの軸であり、骨格である。その骨格の中ので繰り返される中期的循環により、ヘゲモニー(覇権国家)がオランダ→イギリス→アメリカと移り変わっている。
③多くの国が「ヘゲモニーを中心とする近代化という超長期波動(世界システム)」に「経済」を媒介として、やがて組み込まれて行く。
一言で言えば世界中が西洋型社会になり資本主義経済の中に組み込まれて行くということだろうか。「アラブの春」を見ていると、確かに全ての国が(望もうが望むまいが)西洋型社会に変化し、世界経済の中に組み込まれて行く超長期波動は止めることが出来ない大きな流れのように感じる。
ウォーラーステインの視点があまりにも西洋側視点過ぎるという批判もあるようだ。しかし、ウォーラーステインは西洋至上主義者ではないこと。また超長期波動(世界システム)の終焉に視座の重心を置いているのも事実のようだ。
世界システム論はあまりにも巨視的過ぎてつかみ所が難しく、一元論という偏った視点に囚われているのかもしれないが、ウォーラーステインが見据える未来というものがどのようなものなのかは非常に興味がある。時間を作ってウォーラーステインの著書を読んでみようと思った。

- 作者: 川北稔
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/09/10
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