蟻の社会科学

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格差社会論その2〜世代間格差。老人が悪いのか?〜

 世代間格差が大きな問題となっています。日本だけではなく世界中で若年層の雇用の不安定化として大きな問題なっています。日本だけではなく西洋型現代社会では少子高齢化問題と世代間格差は強い普遍性があるようで、これからも世界中でさらに大きな問題として認識されていくでしょう。日本では老人が多額の金融資産を保持している上に、社会保障費も老人関連が優先的に支出されており、さらに老人の増加により社会保障費は今後毎年1兆円以上増え続けます。そして若者は絶望し怒りの矛先が老人に向かうという構造です。しかし、世代間格差の問題は老人が悪いのでしょうか?この問題は老人が悪いと言うより西洋型現代社会に内包された構造の問題です。

 上記の人口動態推計図を見ると長期的人口動態は逆三角形になっています。 今の若い人も、まだ生まれていない子供ですら!?やがて老人になります。今の若者も、未だ生まれていない子供ですら現在の社会システムの延長で考えてこの図に当てはめると、やがて「富を独占する老人」になってしまうのではないだろうか。(現在の若者が老人になる頃には富が日本にあるかはわかりませんが。)
 この問題を解消するために「老人から若者への富の移転」を行えばこの長期的逆三角形の人口動態を再び三角形の構造へ戻すことが出来るでしょうか?1955年比で2000年では実質GDPは約10倍、名目GDPでは約60倍になっています。老いも若きも豊かになり続ける戦後の日本社会の中で、この逆三角形の人口動態が生まれています。そして成長が鈍化した現在になって、世代間格差問題として表面化し、日本だけではなく先進国全体で社会問題となっています。この「豊かになり続ける社会の中で逆三角形の人口動態が生まれた」という現実を考えずに世代間格差の問題を考えても、何の意味も無い!!と思います。
「若いやつの努力が足りん!!」by老人
老害が富を独占しているから悪い!」by若者
という富の分配に対する単なる世代間のポジショントークとして、永遠に解決しない循環論になり、ただただ時が流れて現在の若者は「多くもない富を独占する老人」になっていくでしょう。