「若者はなぜ3年で辞めるのか?〜年功序列が奪う日本の未来〜」を受けての続編と言える本書。
著者の城繁幸氏の考え方を端的に書くと「どうせ給料はもう上がらないんだから自由に生きればいいじゃないか!」ということになると思いますが、その通りだと思います。大企業、年功序列のレールを歩くという昭和的価値観はもはや遠い過去のものとなってしまいました。その昭和的価値観を離れ、新たな道を歩むことが出来た「スタープレイヤー」を本書では紹介しています。
昭和的価値観を離れるということは非常に重要なことだとは思いますが、しかし同時に非常に難しいことだとも思います。昭和的価値観を離れ、新たな自分の価値観を見出し猛進する「スタープレイヤー」も多少は存在するでしょうが、多くは昭和的価値観から離れることが出来ない「無名プレイヤー」だからです。厳格なカトリックの家に育った人間がある日突然イスラム教に改心することが出来ないように、多くの人は昭和的価値観から急に離れることが出来ません。
俺も昭和的価値観から離れた(脱落した)人間ですが、昭和的価値観を捨てるときには非常に大きな困惑を感じたものでした。「大学を出て正社員になり〜・・・」と、一般的に正しいと思われる生き方をちっぽけながら積み重ねてきた自分自身を否定するということはなかなか困惑がありました。今まで漠然と信じてきた「宗教」をある日突然否定して「新しい宗教」に邁進するということは結構困難なことです。今までやってきた自分の「積み重ね」や自分の「宗教」を捨てるより、「新しい宗教を全否定する」ほうが人にとってよっぽど楽なことだと思います。
自分にとっての新しい生き方や価値観を見出すことは困難です。しかし、新しい価値観を見出せないにしても、自分が信じてきた価値観とほんの少しでも距離を置くということは有意義なことなのではないだろうかと思います。

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書)
- 作者: 城繁幸
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/03/01
- メディア: 新書
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