蟻の社会科学

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オッカムの剃刀で経済を簡単に考える。

 14世紀の哲学者・神学者のオッカムの考え方で「オッカムの剃刀」と呼ばれる思考方法があります。「(剃刀でスパスパ切り取って)ある事柄を説明するためには、必要以上に多くの仮定をするべきではない」 という考え方です。
 俺は経済学の話をするときにはあまり難しい単語を使いたくないなぁと思います。(俺にはよくわからないし、そもそも使いこなせない。)経済論争では常にややこしい単語が飛び交っていますが、ややこしい単語を使うことで論点がぼやけてよくわからなくなるような気がします。マクロ経済学は様々な学派があるので「Aという問題」に対して、ある人は「Bの法則」で話を進め、またある人は「Cの定理」という切り口で問題を論じる。BとCがあまりにもかけ離れているが故に論点がズレたまま答えが出ずに、気が付いたら「Dの問題」にまで話が及んでよくわからないままに白熱するのだろうかと思います。そもそも俺自身無知ですし、俺が学んだことなど正しいと証明する術を持ち合わせていない。経済学というものがどこまで有効なのか証明する術を誰も持ち合わせていないと思っています。さらに過去に正しかったと思われる理論がこれからも通用する保証も全く無いと思います。

 「オッカムの剃刀」で単純に経済を考えると大きく「貨幣的要因(金融、資産経済)」と「実物的要因(実体経済)」に分けられると思います。「貨幣的要因」とは「お金=ヴァーチャル現象」で、「実物的要因」とは「地球上での人間の営み=リアル現象」です。「経済=人間の営み」を成り立たせているものは「貨幣的要因」なのか「実物的要因」なのかと考えた時、言い換えるならば「お金が人間の営みを引っ張っているのか人間の営みがお金を生み出すのか」という命題に対して、俺の答えは「実物的要因こそが貨幣的要因に先立つ」です。
 現在のリフレ派と呼ばれる一大勢力の考え方は「貨幣的要因が実物的要因に先立つ」という考え方だと思います。「金が無いなら金を刷ればいい。その金で公共事業なりを行えば日本経済は回復する。」という考え方に深い疑義を感じざるを得ません。実物的要因であるリアル現象(地球上の人類の営み、実体経済)において、旧来では考えられなかった様々な複雑な概念が生まれています。現在の垂直統合されたグローバル経済の世界では「【free】(クリス・アンダーソン)のような概念」「ニートという存在」「人口がどんどん減る超少子高齢化社会」「クリック一つで瞬時に国境を越えて金を動かすIT革命」「ミセスワタナベなどの個人投資家」「毎日1000兆円以上の金が飛び交う国際金融市場」などなど・・・。地球上では旧来の常識では説明できないような概念がこれからもどんどん生まれて行くでしょう。 
 そんな複雑なリアル社会の中で旧来の教科書通り?の「金融緩和」や「財政出動」を声高に唱え、貨幣的要因に主眼を置いて一元的に日本経済を解釈するリフレ派とやらには強い違和感を覚えます。世界が複雑に絡み合ったグローバル経済(実物的要因)の中で日本政府や日本銀行財政出動や金融緩和を行ったところで、目に見えるほどの長期的な効果を発揮出来るとは思えません。現在の日本経済低迷の根本、実物的要因である「人口減と高齢化による経済の縮小」を「貨幣的要因」で止める魔法を日本政府や日本銀行に期待すること自体ナンセンスであると言わざるを得ない。