蟻の社会科学

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第14章 論理的思考 その5 ~説明と理解について~

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 この章では「説明」について検討したいと思います。人に何かを説明するという行為は、論理的思考力、コミュニケーション力など、知的能力が最も試される分野だと思います。
 上記のモデル図を例に、「野球」というものを全く知らない人に説明するには、どのように説明を行えばいいかを考えます。相手が野球というものを全く知らないのであれば、「ピッチャーが・・・」「ホームランが・・・」「ダブルプレーが・・・」など、具体的なことから説明しても通じません。
 相手が野球を全く知らないのであれば、まず最初に「これはスポーツである。」という最も抽象的で大きな概念から説明する必要があります。最も大きな前提を最初に説明することなく説明を始めても、相手の理解があやふやなまま話が進んでしまう可能性があります。まず最初に「スポーツである。」という抽象的概念を説明し、その後は「2チームで戦う。」「1チーム9人である。」など、包括的に、少しずつ具体度を高めていくことで、比較的スムーズに理解を得られるのではないかと思います。
 自分が野球についてよく知っているのであれば、ついつい相手も野球についてある程度知っているだろうという思い込みに陥ってしまうことはよくあります。「スポーツである。」ということを説明するまでもないだろうと思い、説明を端折ってしまうことがあるかと思いますが、それは自らの思い込みであるということをメタ認知するのは重要です。

 もう一つ別の例を考えてみます。「2週間でプロセスが1~7まである仕事」というのがあり、その仕事を新人に説明するとしましょう。(下図)
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第一週の月曜日から始まり、第二週の金曜日で終わりです。プロセス1から説明をすることが出来ればいいのですが、例えば今日が第二週の火曜日だとしたら、プロセス5の説明から始めなければいけないということも多いでしょう。その時はプロセス5をいきなり説明するのではなく
(1)この仕事はプロセスが1から7まであること(抽象化して、まず全体像を説明する)
(2)今日は日程の都合上、プロセスの5を説明すること(その次に、具体的事例を説明する)
この2点を伝えるだけでも、相手は全体像(抽象的概念)と現在地、目的地(具体的事例)の流れのイメージをつかむことが出来て、より早く理解できるかと思います。

 説明において重要なのは下記の四点かと思います。

①(状況を考えながら)相手が持っている知識量や理解度を推し量る。
②それに応じて、相手が理解するのに必要な抽象度を考えて、抽象的概念から具体例へ順序立てて説明する。
③5W1H、前提、結論、目的などをあやふやにすることなく、明確にすることを意識して説明を行う。
④可能な限り、紙などに書き出して説明すると、なお良い。

 第10章の「非論理的思考」の項目でも説明しましたが、人は具体的なことを、思いついた順に、順不同で説明を始めてしまうという習性があるようです。説明を行うときはそのことを認識しつつ、上記の四点を意識しながら行うようにするといいかと思います。
 人に理解してもらいやすいように抽象的な概念から説明を心掛ける、ということを逆に考えると、自分が何か未知のものを理解しようとするときは、抽象的な概念から考えるように心掛けると理解しやすいということになります。複数の具体的事項をいかに抽象的概念に置き換え、順序立てられるかが、論理的思考の重要な鍵になるかと思います。
 この記事でも人間の思考という極めて複雑な事象を、「システム0、1、2」と抽象的な概念に置き換えて説明していますが、うまく説明できているか自信はありません(笑)