蟻の社会科学~リベラルアーツとロジカルシンキング~

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【39冊目】集中講義!日本の現代思想〜ポストモダンとは何だったのか〜仲正昌樹

 20世紀の後半から始まったと思われる現代思想というのは具体性や物語性を持たないのでとっつきにくいかもしれません。本書はそのとっつきにくい思想を仲正昌樹先生がズバズバと包丁で大まかに料理して、誰でも現代思想のエッセンスを味わえるように仕立て上げた良書だと思います。
 マルクス主義から現在の日本の思想と社会の現況を大きく鳥瞰することによってポストモダンとは何かを大まかに考えることが出来ます。俺のような初学者にはこういう入門書が何より有難いです。

以下、俺の感想・・・


 ポストモダン以前の世界には大きく美しい物語が存在していた。それは「王様貴族VS庶民」「資本家VS労働者」「資本主義vs共産主義」「国家VS国民」「全体主義VS自由主義」「右翼VS左翼」などの「善vs悪」の予定調和的二元論の世界観であり、その世界の中の弱者たる庶民が悲劇のヒーロー、または世界を救う勇者となって、邪悪な魔王(王様や企業や政府)という大きな権力に立ち向かう英雄譚の世界観だったと思う。
 その「善vs悪」という美しい二元論の物語が次第に分解されていく過程がポストモダンであり現代思想なのだろう。二元論の世界観の外側にある構造を分析し「メタ構造」を作り上げる。その「メタ構造」の外側を分析し「メタメタ構造」を作り上げる。さらにその外側を分析し「メタメタメタ構造」を考えて・・・。と二元論の美しく調和された世界観を徹底的に分解して破壊するポストモダン思想には具体的な目的が存在しない。目的が存在しないが故に理解すること自体が難しい。
 ポストモダンの隆盛と衰退と時を同じくして「資本主義vs共産主義」の戦争はソ連の崩壊により、資本主義側の勝利に終わった。その戦争の後にただ一人残された資本主義はもはや目的を持たずただ盲目的に無目的に自己の拡大だけを追及するシステムになった・・・。
 そんな無目的な時代だからこそ、具体的な目的を持たない思想こそが社会を考えるための重要なツールになるのではないかと、本書は改めて思わせてくれました。
集中講義! 日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか (NHKブックス)

集中講義! 日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか (NHKブックス)