蟻の社会科学

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流動性の罠と日銀悪玉論

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2011/ko110601a.htm/
日銀のサイトより一部引用
引用はじめ
4. 人口動態の変化と政策対応
ケインズの視点
 次に第2の研究課題として人口動態の問題を取り上げます。ケインズは、1937年に行った「人口減少の経済的帰結」という講演の中で「人口減少期には、総需要が期待を下回り、過剰供給の状態が継続しやすい。従って、悲観的な雰囲気が続く可能性がある」と指摘しています。ケインズは、伝統的なマルサス流の人口増加懸念論とは対照的な視点を提供しました。新古典派成長理論では、経済変数は、一人当たりGDP、一人当たり資本ストックというように、「一人当たり」で議論されることが多く、これでは日本が現在直面しているような問題を扱えません。日本は急速な高齢化と生産年齢人口の減少といった人口動態の変化期を迎えています。日本経済の現在と将来を考えるために、人口の規模や構造の変化を分析しようとしたケインズの視点が、より重要になってくるのではないでしょうか。この点、先進諸国はもちろんのこと、今後は、エマージング諸国も同様の課題に直面することが、高い確度で見込まれていることに言及したいと思います。
人口動態と総需要
 人口動態の変化は様々な経路を介して経済成長に影響します。まず、日本のように人口の減少に直面している国においては、生産年齢人口の減少が供給面の成長制約要因として作用します。人口動態要因は当面、所与の条件となるため、女性や高齢者の労働参加率を高めることが求められます。さらに、教育や職業訓練システムの改善を通じて、労働力の質を高めていくような方策も必要です。
 人口動態の変化が総需要に与える影響についても、複雑な経路が存在することを認識する必要があります。現役世代の減少は消費を減少させる直接的な要因となります。一方、消費のライフサイクル・モデルによると、高齢化が進めば、高齢者が貯蓄を取り崩すことから、消費が押し上げられることが想定されています。実際、高齢者の支出パターンをみると、耐久消費財への支出を減らす一方、医療・介護といった健康的な生活を維持するためのサービスへの需要を高めることが、各国共通に一般的に観察されています。しかし、医療や介護といった分野は、公的規制の影響を大きく受けていることを忘れてはなりません。規制が社会の変化や技術の進展に応じて見直されず、高齢者の消費需要に合致したサービス供給が阻害される場合には、潜在的な需要は顕現化しない可能性があります。
 以上を踏まえると、人口動態の変化期には、社会・経済制度が、様々な変化に対して柔軟に対応できることが、制度が安定的に存続するために不可欠な条件であると再認識できるかと思われます。こうした観点から、有権者の高齢化が進む中で、高齢者の選好を反映し、社会全体の選択がどのような影響を受けるのか留意していく必要があります(図表9)。
人口動態と景気循環
 冒頭で申し上げた通り、3つ目の視点は、ブーム・バスト・サイクル(boom-bust cycles)と人口動態との相互作用の重要性を示唆しています。両者を関連付ける考え方として、例えば「支出の波(spending wave)」という仮説があります。この一見単純な仮説は、消費者が支出のピークを迎える年齢が45〜50歳前後であるとの想定のもとで、「ベビーブーマー世代が『支出のピーク』を迎える時期と、景気や資産価格のピーク時とが重なる傾向がある」と主張するものです。私の同僚である西村副総裁が指摘しているように、非現役世代1人に対して、何人の働き手が経済に存在しているかを示す指標である「逆従属人口比率」は、日米の不動産市場の動向と相関しています(図表10)また、若年層は住宅の買い手として市場に参入するため、若年層の増加が不動産投資ブームをもたらす、という類似的な研究も存在しています。こうした全ての議論は、バブルや金融危機の分析においても、人口動態の影響を軽視してはならないことを示しています。


 人口動態と経済に相関関係や因果関係はあるのか?長い間議論され続けているこの問題ですが、未だに結論は出ていません。熱いウェットな実務者集団より冷めたドライな研究者集団という色合いも濃い日銀は金融政策の限界と人口動態をダイレクトに結びつけ
「金融政策には限界があります。高齢化社会、人口減少社会では、我々が出来ることには限界があります。\(^o^)/とバンザイ姿勢を明確に打ち出しているような気がします。
 そのような日銀の姿勢に対して、「人口動態と経済は全く関係が無い」という立場側から「てめーら日銀の不作為こそが問題だ!」「無能な日銀の白川が問題だ!」「日銀職員の(相対的)高給を維持するために日銀はデフレを維持しているんだ!」という声も聞かれます。どっちが正しいのだろうか?どちらが正しいのかなんてわかりませんが、俺は日銀側の立場です。しかし、日銀を擁護するわけではありません。日銀は「無能」なのではなく「無効」なのだと思います。

2000年12,693万人 高齢化率17.4%
2030年11,522万人 高齢化率31.8% (予測)
2050年 9,515万人 高齢化率39.6% (予測)
2100年 4,771万人 高齢化率40.6% (予測)  
 人間は工業製品では無いので、景気が良くなれば人間が増えるという問題ではありません。日銀や政府が何をしようがこの少子高齢化と人口減少を今のところは止めることは出来ません。人口と経済が因果関係があるかは証明は出来ませんが、どう考えてもこの人口動態では今後経済が成長するとは思えないでしょう。極端な言い方をすると、もはや日銀や政治家が経済に対して出来ることなんて無いのかもしれません。
 「日銀や政府の経済政策を強く批判している人こそ、最も日銀や政府を信頼している人。」という逆説的な見方も可能だと思います。日銀や政府が何をしようが老人の増加(社会保障費の増加)と人口の減少(経済の縮小)を止めることは出来ない。そんな状況の中で日銀や政府を批判するのは
「それでも日銀なら・・・政府ならきっと何とかしてくれる!」
と、日銀や政府を批判しながらも、思いっきり信頼している証明ではないのだろうか。
 一つ言いたいことは、日銀や政府の政策と全く関係なく少子高齢化が進むことと同様に、我々は日銀や政府の政策とは関係なく自分の人生を作っていかなければいけないということです。