蟻の社会科学~リベラルアーツとロジカルシンキング~

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸にリベラルアーツを横軸にロジカルシンキングを最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。

【20冊目】人口学への招待 河野稠果

 国連人口部、厚生省人口問題研究所所長としてのキャリアを持ち、日本の人口学黎明期から現在に至るまで日本の人口学の草分け(らしい)である著者の人口学への入門書。
 「人口学」という学問が存在し、一つの確固たる学問の領域を確立しているということ自体、一般的にはあまり知られていないのではないでしょうか。このブログは社会を考える上での土台を「人口動態」としているので人口学はこのブログの土壌であり幹となります。本書は素晴らしい内容だ・・・。この本は入門書ですが少子高齢化を考えるためのありとあらゆる材料が詰まっています。
 第一章から第三章までは人口学への統計的な技術的アプローチとなっているので、相当読み込まないと理解出来ない。技術的なものに興味が無い人はそのエッセンスだけ感じ取れれば十分かと。
 四章以降は少子高齢化と社会的要因の関連で書かれているので理解しやすい内容となっているかと思います。
・人口転換理論〜多産多死から少産少死〜
・生物学的観点から考える出生力の人口学
社会学的観点から考える結婚の人口学
・経済学的観点から考える少子化の人口学
大まかにこの四つの視点から少子高齢化問題を掘り下げています。その一つ一つが社会を考えるための大きな材料となります。

 日本の少子高齢化問題の犯人探しをするときによく聞かれる「自民党少子化問題を放っておいたのが悪いんだ!」「老人が若者から搾取するから子供の数が減るんだ!」という「一理あるかもしれないけど、どこかトンチンカンな感情論」は人口学という社会科学のフィルターを通して考えた場合、何かおかしな意見と思わざるを得ないと改めて考えました。
 

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)