蟻の社会科学

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将来への期待

 「将来への期待」という集団心理が経済に与える影響は非常に大きいと考えられています。「ケインズのアニマルスピリット」や「合理的期待形成学派」など「将来への期待」に関する考え方は様々ありますが、俺はそれらを勉強してもよくわからない。「将来への期待」に対しての俺の考えをメモっておきます。

 好況時など「将来への期待」が大きい時は人はお金を使うことにさほど心配をしないでしょう。多少出費しても給料が上がるだろうと思いローンを組んでも散財をしても屁とも思わないでしょう。高度成長期からバブル期に至る日本人の心の根底にあったのは「将来への期待」だったと思われます。将来に不安をあまり持っていないので、どんどんお金を使いローンも組む。この心理こそが経済成長の心理的要因の一つだと思います。逆にバブル崩壊後から現在に至る不況時、少子高齢化で将来の経済の拡大を見通せず、税金だけが上がり続ける停滞期では「将来への期待」が小さくなりつつあります。そのような社会では人はあまりお金を使うことはないでしょう。
 それらを踏まえて「将来への期待」の根源は何なんだろうか?を考えてみます。最初に結論を書くと「将来への期待」という集団心理の土台、基礎となるのは「労働による自己達成感」という内的要因だと俺は考えています。自分の力でお金を稼ぎ、自分の努力で収入が上がったと思える確固たる自信こそが自己達成感であり、それこそが「将来への期待」という要素を構成する土台だと考えています。

 「将来への期待」は好況と不況の狭間で揺れ動きます。好況と不況をある程度人工的に演出するのは世界各国政府の財政政策や金融政策です。これまでの順調に経済成長する世界では好況と不況をある程度人為的に穏やかにコントロールすることが出来ましたが、経済成長が鈍化したこれからの世界では、人為的に景気の波をコントロールをすることが困難になり、バブルと大不況を繰り返すことになると思われます。大不況による悪影響を緩和するために政府が手当てという形で現金をばら撒いたり財政出動を行いますが・・・。
 これからの社会では人は「労働による自己達成感」をどんどん失っていくのではないかと思います。「自分の努力で掴んだお金」だと思っていた給料が、バブル的好景気の崩壊によりあっという間に減ってしまう時代。そのような社会では人は「労働による自己達成感」をどんどん失っていくのではないだろうか。自分の力によって得たお金なのか、経済の好況不況による外的要因によって得たお金なのか?自分の努力の成果を信じることが出来ずに将来への期待の土台である「労働による自己達成感」を弱めていくのではないだろうか。まして政府による手当てなど現金のバラ撒きなど、いつ無くなるかわからないお金に対して信頼感も自己達成感も持てずにただ溜め込むだけになると思われます。
 「どんな金でも金は金」という考えもありますが、やはり自分の力によって得たと感じられるお金と、バブリーな外的要因の影響が大きいお金や政府から給付された金では消費意欲はまるで違うと思います。「将来への期待」を作り出す土台は「労働による自己達成感」の拡大だと思います。この停滞した社会の中で、小渕政権以来の政府の財政出動によるバラマキや、金融緩和によるバブルの発生が究極的には無効になるのは「労働による自己達成感」と結びつかない小手先の手段だからなのだろうと思います。