蟻の社会科学

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我々が働く理由

 
 「我々はなぜ働くのだろうか?」との問いが合った場合、答えは何だろう?一番最初に思いつくのが「金のため」。正確には「生きるため」が答えなんだろう。現代人は原始人やロビンソン・クルーソーのように自給自足で生きているわけでは無いので金を得る以外に生きる術はない。よって金を稼ぐために人は働くのだろう。働く理由を問われた時の答えが「金のため」というのは、最も潔くて清らかな答えだろう。人が働く理由のミクロ視点、極小値レベル0での働く理由は「生きるために、金を得るために働く。」ということになるのだろう。
 その正反対のマクロ視点、極大値レベル1での働く理由は「誰も働かなければ社会を維持することが出来ないから。」ということになるだろう。みんなが働かなくなれば社会は社会ではなくなってしまう。原発の作業員が全員働くことをやめてしまったら、トラックのドライバーが全員働くことをやめてしまったら、飛行機のパイロットが全員働く事をやめてしまったら・・・・・社会は当然成り立たない。だから人は自分が金を稼ぐためだけではなく、社会に労働力を供給するために働かされるのだろう。
 「職業に貴賎なし」という偽善に聞こえる言葉があるがこれは結構真実かもしれない。フリーターでも総理大臣でも労働を社会に供給して社会の維持に貢献しているという観点から考えれば同等だからだ。しかし、「職業に貴賎なし」なんて言葉をそうそう真に受けることは出来ない。「働く理由」を金のためだけとも割り切れない部分もあるし、社会貢献のためという理由も中々受け入れることが出来ない。レベル0とレベル1の中間のレベル0.5で人は働く理由を見つけているのだろう。
 働く理由がレベル0に極めて近かったシンプルな近代以前の社会と違い、現代社会は働く理由が0から1での振幅が大きい。この複雑な現代社会は理解できないほど仕事の分業が進んでいる。信じられないほど多様な職業が存在している。多くの人は子供の頃なりたい職業があっただろう。しかしこのような複雑な社会の中では子供の頃に望んだ職業には就くことが出来ずに、ほとんどの人が流れに任せて成り行きで、複雑に分業化された社会の中の一つの職業に就いているのだろう。
 「明日は今日より明るい!」という近現代社会の経済成長時代であれば働きさえすれば、ある程度満足できる金を得ることは出来ただろうし、自分の努力が収入の増加に結びついた(と錯覚出来た)ので、多くの人は働くことに疑問を持つことが無かった。(それは自分が望んだ職業であろうが無かろうが。流れの中で就いた職業に対して、後付で「これこそ俺がやりたかった職業だ!」と思い込むことも出来たのではないだろうか。)働く理由のレベル0からレベル1までを、自分の心の中で消化することが出来た時代だったのかもしれな。しかし、現在は経済成長が止まってしまった時代だ。そんな時代の中では働くこと自体になんとなく疑義が生まれてくる時代でもあるだろう。人生の流れの中でなんとなく就いた職業。その仕事をやりたいわけではないし、意義もよくわからない。「金のため」と思って働いても自分が望むほどの金にすらならない。「0と1の中間、働く理由と、働かされる理由の中間」でグルグル回り続け、不安と不満だけが積み重なっていく。働く理由のレベル0からレベル1まで何もかも消化不良になっている時代だと思う。
 そんな時代の中で僕らは「働く理由」を見つけられない場合にどう見つければいいのかと考えた時、結局割り切るしかない。レベル0とレベル1の中間でグルグル回りながら、働くことに無理に理由を見つけようとせず「俺は金のために働いている。あぁ俺は金の亡者さ!」「働いてさえいれば低収入でも社会に貢献しているんだ。何か悪いのか!」と割り切るしかない。
 そして、その先にあるのは一番大事なのは「自分の人生」なんだろう。円経済圏に所属する大多数の人が貧しくなっていくと思うがそんな時代の中でもお金とはちょっとだけ距離を置いて、自分が楽しいと思えるライフスタイルを見つけることだけだと思う。それは自分の趣味を見つけたり、友達や家族と休日を楽しんだり、楽しいと思えることを見つけることだと思う。それは一生懸命働くことと同じぐらい大事なことなんだろう。 
 最後はなんか青臭い精神論になったが俺は考えている。

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