蟻の社会科学

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高度経済衰退時代の生き方とは?


いまだに「高度経済成長時代の生き方」を続ける日本人の不幸
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110716-00000012-pseven-bus_all

 経済的な側面から見れば、人生のポートフォリオは、自ら働いてお金を稼ぐ「人的資本」と不動産や預貯金などの「金融資本」で構成されている。多くの日本人はマイホームを購入し、金融資本を不動産に一極集中させた極めてハイリスクなものとなっている。では、人的資本はどうか? 資産運用や人生設計についての多数の著書で知られる作家・橘玲氏が解説する。
 一方の「人的資本」でもリスクの極大化が生じている。大卒の日本人は、その大半がサラリーマンとして会社や官公庁に就職し、終身雇用の下、定年まで勤務する。しかしこれも投資の観点でいえば、自分が持っている「人的資本」を会社というひとつの銘柄に集中投資していることにほかならない。その企業が倒産したり、今回のように会社や工場ごと津波に流されてしまえば、たちまち人的資本はゼロになってしまう。
 大卒で大手企業に入社し、定年まで勤めたときの総収入は約3億円といわれている(企業年金や社宅なども加えると5億円との試算もある)。それがすべて失われてしまうのだから、そのダメージは計りしれないものがある。サラリーマンなら誰でも身に染みて知っているように、40代を過ぎて中間管理職にでもなれば、転職の可能性はほとんどなくなってしまう。倒産やリストラで職を失うと、あとは非正規の職場で働くか、そこでも雇ってもらえなければコンビニのレジ打ちか道路工事の交通整理くらいしか残っていない。
 このように、多くの日本人は人的資本をひとつの会社に投資し、それと同時に金融資本を住宅ローンでレバレッジまでかけて、マイホームという不動産に投資してきた。リスクを嫌うといわれる日本人が、実は非常にハイリスクな人生のポートフォリオを組んでいるのだ。もちろん、リスクが高い反面、うまくいったときのリターンも大きい。高度経済成長期に日本人が急速に豊かになれたのは、このポートフォリオから効率的に富が生み出されたからだ。大企業に就職すれば倒産の心配はなく、住宅価格も右肩上がりで上昇していた。
 しかし、バブルが崩壊し日本経済が低成長時代に入ったことで経済環境は大きく変わってしまった。それでも多くの日本人は新しい人生設計を見つけることができず、古いポートフォリオを抱え込んだままでいる。そのリスクが、震災によってはじめて顕在化したのだ。※マネーポスト2011年7月号

 同じような趣旨のことは橘玲氏だけではなく、勝間和代女史など様々な評論家が言っています。俺もこのブログで似たような趣旨のことを何度か書いてきました。(というかこのブログの趣旨はこの記事と同じです。)
 会社に自分の人生を全て預けるのはこれからの時代は良くないのだろうと思います。しかし、高度経済成長時代の生き方に置き換わる人生のロールモデルが現在の社会に存在していないのも事実です。今更引き返すことが出来ない中高年層は経済成長時代のライフスタイルを否定することは絶対に出来ないでしょう。それを否定したら自分の人生すら否定してしまうことになりますので。しかし、現在子育てをしている層でも自分の子供が高度経済成長時代のライフスタイルを送れるように、子供を叱咤激励して進学塾へ行かせたりしている人が多いと思います。経済成長時代はとっくに終わったのに、それに合わせたライフスタイルのロールモデルや思想が日本社会の中に全く存在していませんので、便宜的に経済成長時代の生き方を目指して、それを良しとせざるを得ないのが現状だと思います。
 会社に人生を預けるライフスタイルしか存在しない以上、多くの人は会社に人生を預けざるを得ません。しかし肉体を会社に捧げたとしても、魂まで会社に捧げるのは危険極まりないと思います。経済成長時代の亡霊である「安定、成長」という幻想を抱いて会社に魂まで預けてしまうと、これから訪れる高度経済衰退時代においては心が壊れてしまうと思います。「俺はこんなに会社に尽くしているのに給料がぜんぜん上がらない。糞が!」と不満ばかりが募ってしまうと思います。どんなに頑張ろうとも「経済の縮小」「社会保障費の増加による増税」「(そして恐らく)物価の上昇」これらの下方圧力を「会社内での個人の努力」で上回ることは出来ません。
 上記の記事の「人的資本」を「肉体」と「魂」に分割して「会社に肉体は預けても魂は預けないこと」、そして「金融資本」を「不動産にハイレバレッジで投資しないこと」がこれから重要になってくると思います。
 経済成長時代が生み出した亡霊である「子供のころから塾へ行って、いい大学へ行き大企業へ入り都会でアーバンライフを送ったり、海外で商談をするエリートサラリーマンになること。結婚して、子供を2人生んで30年ローンでマンションか一戸建てを買って老後は年金で悠々自適」という価値観はこれからも日本人を苦しめ続けるでしょうが、悪霊払いされる時代はそう遠くないのではないかと思います。