蟻の社会科学

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【4冊目】二〇三〇年日本 「不安」の論点〜産経新聞社会部〜

 産経新聞の社会面に連載されていた「二〇三〇年」を加筆修正した、日本の近未来について論じた本。日本社会を覆っている不安を具体的に五つの論点から取りあげています。
第一章「働く場所はありますか」・・・「労働と企業」
第二章「ふるさとはありますか」・・・「地方の過疎と農業」
第三章「親を超えられますか」・・・「世襲と格差」
第四章「都市はもちますか」・・・「住まいとその老朽化」
第五章「日本はありますか」・・・「移民の光と影」
「こうすれば日本はよくなる!」という明確な答えを示す本ではありません。現在の日本の不安の論点は五つだけではありませんが、現在と2030年をつなぐ道の中に存在する不安を、とりあえず五つの具体的な論点で提起する内容となっています。
 多くの人が日本の未来に漠然と不安を持っていると思います。しかし何が問題で不安なのかは、なかなか具体的には掴みにくいのではないでしょうか。何が不安でどうすればいいのか、社会全体がよくわからない状態なので「とりあえず政権交代してみればきっと日本は良くなるんじゃないだろうか。」という考えで政権交代したり「財政が良くなれば日本が良くなるはずだ。」という帳簿原理主義が社会に蔓延したりしているのでしょうか?
 日本社会の問題の原因を「政治」や「経済」という雲の上の問題として批判し、「政治家が悪い。日銀が悪い。企業が悪い。」と片付けるだけで済む時代では無いと思います。現実社会の問題点を「雲の上の人たちが解決すべき問題」として捉えるのではなく「解決できないにしろ、少なくとも自分たちが考えなければいけない問題」とする土壌が社会に生まれなければいけない時代と思います。
 本書は具体的に社会の改善の方向性を示唆する本ではありませんが、現在と未来をつなぐ道の中に存在する問題点を広く浅く提起する内容で一読の価値はあると思います。

二〇三〇年日本「不安」の論点

二〇三〇年日本「不安」の論点