蟻の社会科学

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸に、リベラルアーツを横軸に、システム思考を最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。

マインドマップと拡散的思考

人間の思考について研究を行ったアメリカの心理学者ジョイ・ギルフォードによれば、人間の思考には2つの側面があるとしている。1つは既知の情報から論理的に思考や推論を進めていき、唯一の正解に正しくそして早く到達するための収束的思考、もう1つは既知の情報から様々に考えを拡散させ(めぐらせ)、新たな物を生み出していく拡散的思考である。Wikipediaより引用

 アメリカの心理学者ギルフォードは人間の思考を拡散型思考(≒アブダクション)と収束型思考(≒帰納、演繹)に分類しました。文献によると、思考と理性の中枢である前頭葉を損傷した人は、収束型思考はある程度行えるが、拡散型思考を全く行えなくなるとの記述がありました。それを踏まえると、複数の選択肢を発想し、その中から最適解を選択するという「拡散型思考→収束型思考」こそが人間の思考の最も基礎的な枠組みになるのではないかと考えています。そして、拡散型思考を鍛えるために最も効果的なのがトニー・ブザンが提唱するマインドマップではないかと考えています。このブログでたびたびの紹介となりますが、マインドマップについて多角的に検討したいと思います。

 マインドマップに思考力(拡散的思考)を鍛える効果があると言われても、そもそもどのような効果があるのかピンとこないと思います。例えば「【神社】をテーマにマインドマップを書いてみましょう。」と言われても、やってみようという気持ちより、下記のような疑わしい気持ちが先に浮かんでくると思います。

・面倒くさい。忙しいのにそんなことをしている暇は無い。
・神社について考えて一体何の意味があるのか?
・神社についてなんて、何も思いつかない。神社なんて興味が無い。
・神社について考えるより、生活や仕事に関係のありそうなことを考えたほうがいい。

おそらく多くの人はこのような考えが真っ先に浮かび、(神社についての)マインドマップをやってみようと思わないのではないでしょうか。これに対しての回答を下記にて考えてみました。

 そもそも「考える」こと自体が面倒くさいことです。脳は消費するカロリーが多く、考えることによってさらに多くのカロリーを消費するので、人間はなるべく考えないようにする傾向を持っています。しかし、思考力を鍛えるためにはひたすら考え続ける以外に方法は無いので、面倒くさいと言って考えることを放棄していては思考力が身につくことはありません。確かに神社について時間をかけて一生懸命考えても、それ自体は何の意味もないと思います。しかし、普段考えないことを一生懸命考えるということに大きな効果があります。日常生活で慣れ親しんだこと(利用可能性ヒューリスティック)や、自分が好きなこと(感情ヒューリスティック)を考えるのは全然難しくありませんが、馴染みがなく、それほど多くの知識を持っていないような事柄について、知っていることを必死で頭の中からひねり出し、足りないところを調べてマインドマップを作り上げて体系化する、という行為自体が脳を鍛えることになります。神社について調べるうちに、それに関連する神道天皇家についての知識も自然と増えるかもしれません。その結果、例えば今回の新元号の「令和」とつながる知識が増え、日本の歴史や元号に関する背景や周辺知識ともつながり、広く深く令和について思いを馳せることが出来ることもあるかと思います。このように様々な繋がりを広げて思考を拡散していける能力が思考力の根幹なのではないでしょうか。
 マインドマップを書くということは、例えるならスポーツ選手にとってのランニングや筋トレのようなもので、すぐに効果が出るものではないと思います。日々コツコツと繰り返すことで、一年後、二年後に大きな効果が出るのではないかと思います。「日々の生活に関係がないことだ!」と様々なことを切り捨てていては、思考が硬直してしまって広がっていくことはありませんが、日常に関係のないようなことをテーマにしてマインドマップを書き続けることで、発想力や思考の柔軟性が養われていくのだろうと思います。
 ちなみに拡散型思考の強化には箇条書きやマインドマップが効果的で、拡散→収束型思考の強化にはロジックツリー、フィッシュボーンチャート、フローチャートが効果的かと思います。これらの手法を組み合わせて事象の全体像を構築していく作業を繰り返すこと自体に、脳を鍛え思考力を高めるための大きな価値があると思います。

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【71冊目】完全版 自給自足の本

 いつかは半農半Xみたいな半自給自足の暮らしが出来ればいいなと考えている。しかし、完全自給自足となるとかなりの初期投資が必要となり、金持ちの趣味になるのだろうか。遠い憧れを持ちつつ、たまにこの本を読んでいる。開墾、住居の建築、様々道具についての説明とその製作、狩猟、牧畜、農業、漁業など、自給自足に必要なことが全て書いてあり、「のんびりと田舎暮らし♪」などという生半可な雰囲気の本ではない。大地を開拓して村を作り出すレベルの本であり、想像力が刺激されるとても面白い本である。
 完全自給自足の生活を行うとなると、知力、体力、プロジェクトマネジメント能力、勇気、根性、気力、コミュニケーション能力など、全てにおいてハイレベルな能力が求められることになるだろう。自給自足という言葉を聴くと、牧歌的なのんびりとしてイメージを持つかもしれないが、完全自給自足を行うのは楽に慣れすぎた現代人にはとても難しいだろう・・・。僕達は、格差だ、不況だ、と不満を言いつつも、昔の人たちに比べたらとても楽で豊かな暮らしをしているなとつくづく思う。

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完全版 自給自足の本

完全版 自給自足の本

ミランコビッチ・サイクルとリベラルアーツ

 ミランコビッチサイクルとは、地球の公転軌道と自転のブレ(歳差運動)によって地球の日射量や気温が数万年~十万年単位で変化することを示した理論です。地球は太陽の周りを回っていますが、その軌道は真円ではなく楕円軌道であり、約十万年のサイクルで太陽に近づいたり遠ざかったりしています。また地球はコマのように自転していて、二万五千八百年周期でコマのように首ふり運動を行っています。この公転と自転のブレに影響されて地球の気温や環境は数万年~十万年サイクルで大きく変化しています。
 地球温暖化という問題を考えるときでも、多角的に物事を考えることが出来ないと、その原因を「人間の活動による温室効果ガスが問題だ!」という一つの視点だけで結論を出してしまうかもしれませんが、ミランコビッチサイクルを知っていると「確かに人間の活動による温室効果ガスは大きな原因だろうが、地球の公転軌道の変化や歳差運動の影響も考慮に入れなければいけないかもしれないし、すぐに断定は出来ないな。太陽の活動量の変化の影響とかもあるかもしれないし。」と多角的に灰色の仮説を何個も組み立てることが出来るかもしれません。
 リベラルアーツとは様々な教養を身につけて、アナロジーを用いて多角的に物事を検討し、解決方法を見出す能力を磨くことです。ミランコビッチサイクルの話を聞いて「だから何だ。そんなの自分の生活に関係ない。」と思えば世界は広がることはありませんが、「へえ~!」と感心して興味を持てば、また別の機会にミランコビッチサイクルのアナロジーを用いて、何かの問題解決に役に立つことがあるかと思います。世界に対して心を開いて「へえ~」と思うことを増やすことはとても重要だなと思います。

山口周「独学の技法」より引用

 テクノロジーはどうしても必然的に専門家を要請します。(中略)もし教養という概念を科学的知識のスペシャリゼーションというものと対立的に考えれば勝負は見えていると思う。それは教養側の敗北でしかない。しかし、教養というものは、専門領域の間を動くときに、つまり境界をクロスオーバーするときに、自由で柔軟な運動、精神の運動を可能にします。専門化が進めば進むほど、専門の境界を越えて動くことが出来る精神への能力が必要になってくる。その能力を与える唯一のものが、教養なのです。だからこそ科学的知識と技術・教育が進めば進むほど教養が必要になってくるのです。    加藤周一「教養の再生のために」

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思いついたことをなんか書く

 今日で3月も終わります。今月は何も書いてませんが、最低でも月に一つは記事を書こうと思っているのでなんか書こうと思います。適当に思いついたことや思ったことを箇条書きで書きます。

・本を読むとき、2mmぐらいの細い付箋を貼りながら一旦通読してから、後でノートにまとめると効率がいいと思った。小説とかはただ読むだけ。
・字を書かないと忘れてしまう。
・昭和から平成にかけて様々な電子機器が登場したが、かなり多くがスマホに統合されたなと思う。その一覧「カメラ」「ウォークマン」「ステレオコンポ」「ゲーム機」「トランシーバー」「テレビ」「ビデオ」「カーナビ」「その他一杯・・・」
・ひきこもりが増えているというニュースを聞くが、供給力がここまで大きくなった豊か過ぎる社会ではそういう人たちが増えるのは必然だと思う。
・政府の氷河期対策とか今更わけがわからない。明らかに選挙目当ての思いつきの政策。
・ダウ、日経 共に年内には暴落しそう?
晴耕雨読や半自給自足に憧れるなぁ・・・。でもあれは一種の金持ちの道楽なんだろう。
・テーマを決めて大量にマインドマップや箇条書きを行うのが思考力を挙げるための最短の方法なんだろうなと思いつつ、その効果を実証する研究の論文の中身を読むと、どこまで効果があるのかよくわからない。
・そもそも思考力というもの自体が測定が難しい。レーヴン漸進的マトリックステストやWAISⅢなどの知能テストでは思考力を測定するのは難しいだろうなと思う。
ダルビッシュが近年全然駄目だが果たして今後は通用するのだろうか。
・僕が長年応援するNBAのフェニックスサンズが今年も弱かった。最近は八村塁や渡辺雄太など日本人もアメリカで活躍していて頑張ってほしい。
・3月も終わるのにまだ寒い。昼はアラレが降っていた。
twitterを始めてみたが飽きた。
・友達にもらった「社会心理学講義」という本がとても良かったので書評を書こうと思う。
・酒を週1に減らしてから寝つきがすごく良くなった。酒は前頭葉に良くないのでやはり控えるべきだと思った。別にやめてはないしやめるつもりも無い。
前頭葉に関しての本を読むとクリティカルシンキングロジカルシンキングと極めて関係が深いことがわかる。というかイコールである。
・平成は、ほぼバブルの絶頂と崩壊から始まり、豊かになりつつ貧しくなる時代だったな。
・よく言われることだけど、学校というベルトコンベアに乗せて知識だけを詰め込んで社会に放り出すような教育は疑問だ。
原発をまだ推進しようとしていることに驚く。
東日本大震災のとき、池田信夫原発をひたすら擁護していたのはなんだったのか今でも思う。
・大学が768もあることが信じられない。これから少子化でどんどん廃校になっていくんだろう。自動車教習所のように若者に依存している業界はつらい時代だ。
・大学の意義は全く否定しないけど、意味無いこともかなりやっているなと思う。学費が高すぎる。
・タバコをやめたことはよかった。今後も吸うつもりは無い。でも吸いたくないというわけではない。吸いたいけど二度と吸わない予定。もはや価格が高すぎる。
・二十代~三十代までに脳のベクトルを「能動的に、自動的に思考する脳」に向けることが重要だと思う。40代以降大きな差になっていくと思う。
・様々な文献を参考にすると、脳が具体と抽象の往復運動に慣れるまで2~5年ぐらいかかりそう。慣れると疑問や仮説を作り出せるようになっていくんだろうと思う。

とりあえず終わります。

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【70冊目】ブッタとシッタカブッタ シリーズ

ブッタとシッタカブッタ〈1〉こたえはボクにある

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ブッタとシッタカブッタ〈3〉なぁんでもないよ

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ブタのいどころ

ブタのいどころ

ブタのみどころ

ブタのみどころ

ブタのふところ

ブタのふところ


 以前、図書館へ行って仏教コーナーを見ていると、何だか豚の絵の漫画が置いてあった。こんなところに何だろう?置き間違えたのかな?と思ってパラパラと読んだところ、とてもわかりやすく仏教について書いてあった。家に帰ってからすぐにシリーズ6冊を購入した。
 これもセレンディピティの一種なのだろう。いつどこに素晴らしい発見というのがあるか本当にわからない。仏教の入門書は数え切れないほどあると思うが、この本はその中でもかなり秀逸な出来なのではないだろうか。