蟻の社会科学

自由に生きるため、この世界を知ることを目的としたブログです。ビッグヒストリーを縦軸にリベラルアーツを横軸にシステム思考を最適化ツールとして。興味を持った方はガイドラインからどうぞ。

認知科学と仏教

 認知科学を学ぶ人の一定の割合が、大乗仏教唯識論との間にかなりの親和性を見出すのではなないだろうかと最近思います。大乗仏教唯識派が1700年も昔に最新の認知科学に勝るとも劣らない、人の心に関する深遠で精緻な理論を構築していたことに驚きを禁じえません。仏教ウェブ入門講座というサイトに

(前略)ところでこの「八識」については、ロボット工学の分野でも、ロボットコンテストの開催を最初に提唱した東京工業大学の森政弘名誉教授などは、「仏教では八識に基づいて心理の詳細巧妙な解析を展開しており、その精緻さには驚くべきものがある」と言っています。

また、マサチューセッツ工科大学でAI(人工知能)を研究するマービン・ミンスキー教授は、このように言っています。「人工知能をやろうとすれば、当然ながら人間の知能それから心の仕組み、働き方が標的になり、とくに心の研究には仏典が比類なきテキストになる」

と記載されていました。仏教恐るべし・・・恐るべきは仏教よ・・・

 何かを知りたいと思い、必死で学び考えある程度知識が蓄積したときに初めてその全体像の大きさと精緻さに気付くことが出来て己の無知を痛感します。まさに筋斗雲で宇宙の果てまで飛んで行ったと思い込んだ孫悟空がお釈迦様の掌の上にいた状態。大乗仏教唯識論という偉大な思想が1700年も前からこの世界にあったことを最近知ることが出来て自分の無知をまた一つ知ることが出来ました。
 

隠者(仙人、ハーミット)

 RPGゲームの職業を紹介するサイトに隠者についての説明が書かれていた。自分が賢人というつもりはまるでない、世捨て人でもないが自分のことのように親近感を感じて面白かったので備忘録として書いておこうw


職業概要
人里離れた場所に隠れ住む賢人が、隠者である。宇宙の神秘、哲学、宗教、自然、魔法、歴史などについて、いつも考えを巡らせており、一般人からは理解されない。社交を重視しておらず、そもそも服を買うのが面倒なので、みすぼらしい格好の事が多い。大抵は人間嫌いのひねくれ者だが、悪人ではないので、教えを請いに来た者には的確なアドバイスを行う。勇者たちに世界を救うための知識を授けることすらある。

就職方法
ただの引きこもりニートでは、隠者になれない。学者気質の引きこもりニートになって、初めて就職できる。研究者やシャーマンを務めた後に、人付き合いが面倒になって就職するのが一般的だ。また宗教的な真理に近づくために隠遁生活を送る者もいる。

求められる能力
衝動にも似た知識への欲求が必要だ。学んだ知識を役立てようとするのではなく、新しい事を学んだら、別の新しい事学びたくなる人に向いている。他にも難しい概念上の問題を考えるのが好き、物事を批判的に検討するのが好き、想像力豊か、一人でいるのを好むといった性格の人が望ましい。

年収の目安
0円
訪れた人に天気予報、病気に効く薬草などの知恵を授け、その見返りに貢物を受け取って暮らしている。さもなければ自給自足の生活である。収入はないと考えたほうがいい。

無知の知~私の中のミクロコスモス 脳と心と思考~

この記事は長いので何回かに分けて追記しながら書こうと思います。

1 はじめに
 このブログは社会のことを考える社会科学なのですが、ここ2~3年は認知科学に興味の中心が移りました。認知科学とは人間の知覚、記憶、思考などの知的機能の仕組みを、脳科学、心理学、哲学、言語学、宗教学、文化人類学神経科学情報科学、システム科学・・・など様々な分野からのアプローチによって解明しようとする学問です。興味を持ったきっかけはいわゆる「ロジカルシンキング(論理的思考)」が仕事を正確に効率的に行うために役に立つだろうと思い、ロジカルシンキング関連のビジネス書を読んだのが始まりでした。ロジカルシンキングの本を数冊読んだだけでは飽き足らなくなり、人間の心や思考を知るためにより根本的な脳科学認知心理学の学習も始めました。勉強の過程で人間の心や思考を研究する学際的領域(複数の学問にまたがった大きなカテゴリー)として「認知科学」という分野が確立していることを知りました。
 認知科学の勉強を始める前は脳科学や心理学はあまり好きではありませんでした。人間の心や思考というのは人にとって「最後の秘密基地」であり「自由を保証された最後の領域」であり、脳科学や心理学などはその秘密基地を暴き最後の自由を侵すようなものという感覚がありました。「最後の自由」が暴かれ、脳科学や心理学という名の透明な檻か透明なフレームに閉じ込められて心の自由を侵されるような感覚と、それに反発したい気持ちとがありなんとなく好きになれませんでした。
 しかし認知科学をある程度学んだ現在は考え方が変わりました。僕たちは心は自由でありたいけれど、その自らの心の自由によって苦しむこともまた多いと思います。思い通りにいかずイライラして八つ当たりしたりする。そのことで後でクヨクヨ悩んだりする。自分の希望に沿うように物事を勝手に解釈して後でうまくいかず悩む。愚にもつかない思い付きで不安になったり自信満々になったりする・・・。僕たちの心は自由過ぎて、心の暴走を制御することが出来ずに苦しむ。または頑固過ぎて自分の思うように動かすことが出来ずに苦しむ。この自由気ままで頑固で暴れん坊な自分の心を制御するために認知科学を学び、認知科学のフレームに心をはめることで自由は失うことなく感情と思考をサポートし、よりよい方向へ柔軟に心をガイドすることが出来ると考えるようになりました。
 この記事では心と思考について下記の順番で書いていきたいと思います。ただし単なる素人である私が「人間の脳や心」という壮大なテーマをブログの一記事として書き切れるものではありませんので、人間の心の見取り図をかなり大まかに切り出して僕の興味の中心である「無知とは何か」を中心として展開していきたいと思います。記事の内容は全て先の研究者達の研究の成果の上に成り立っています。全ての研究者の方たちに感謝と敬意を申し上げます。また内容の一部に、認知科学における一般的な解釈に反して私の主観によって解釈されている部分がある可能性がありますので了解ください。

 1 はじめに
 2 実在論と観念論 ~世界は脳の中に存在している。哲学からのアプローチ~
 3 無意識 ~システム0、心のゼロポイント~
 4 二重過程モデル ~システム1とシステム2、大脳辺縁系大脳新皮質、感情と思考~
 5 歪められる世界 ~システム1、認知バイアスヒューリスティック
 6 無知とは何か ~世界と私の境界線~
 7 クリティカルシンキング(批判的思考) ~システム2、無知の知、内省~
 8 ロジカルシンキング(論理的思考) ~静的構造、要素還元主義、抽象と具体など~
 9 システムシンキング(システム思考) ~動的構造、世界は変化しながらつながっている~
10 システムシンキング その2 ~近代社会と少子高齢化をシステム思考で考える~
11 発達障害自閉症スペクトラム ~中枢性統合の脆弱性と心の理論~
12 人間の思考について散文いろいろ
13 まとめ
14 参考文献

2 実在論と観念論 ~世界は脳の中に存在している。哲学からのアプローチ~
続く

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文章を書くということ

 ほぼ誰も見ていないであろうこのブログを7年間少しずつ書き続けている。「文章を書く」ということ自体が考えるためにいい訓練なんだなと思う。大量の情報を収集して抽象化して大きな構造にまとめる。そこから順序立てて小さな要素に分解したり、また大きな構造へ戻ったりしながら結論に導いていく。これらの作業を四苦八苦しながら行うことによって考える力が身についているような気がする。

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【68冊目】海藻の歴史 カオリ・オコナー

海藻の歴史 (「食」の図書館)

海藻の歴史 (「食」の図書館)

 今取り組んでいる認知科学に関する記事の資料を探しに図書館へ行ったら新著コーナーにこの海藻の歴史という本が置いてあった。僕は海藻が好きでいつもわかめの味噌汁、昆布出汁の煮物、ひじきの煮物、もずく、めかぶを食べている。興味を惹かれて手にとってパラパラと読んでみると「海藻食」の本だったので早速借りて読んでみた。アジアを中心として世界中の海藻に対する認識と海藻食の歴史を中心に紹介する内容であり楽しく読めた。またスーパーフードとしての海藻の可能性を知ることができた。
 この本が僕の人生において何かの役に立つことは恐らく無いだろう。だが本を読むのに役に立つか立たないかだけを基準としていてはそれこそ視野が極端に狭くなってしまいそうな気がする。普通に生きていては恐らく一生知ることが無いであろう「海藻」について知ることが出来たのも本の力なのだなとしみじみ思った。

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近代以前と近代以降の人々の視野

 「近代以前の人々の視野はとても広かった」と言われると違和感を感じるかと思います。「科学もなく迷信と宗教の中で生きていた人々の視野が広い・・・だと?・・・」と感じるかと思います。確かにある一面においてはその通りなのですが、近代以前の人々の視野は下記の意味においてはとても広かったのではないかと思います。
 なぜ彼らの視野が広かったというと、彼らは自然と直接向き合っていたからです。自然をコントロールする術を持つはずもなく、日照りによる飢饉、大雨による洪水、疫病に対して祈祷で対抗していました。自然が直接生命にまで干渉してくる世界の中で生きている以上、彼らは自然という大きなものを意識せざるを得なかったと思います。古代より人は宇宙や太陽を常に意識しながら生き、社会を作ってきました。中世西洋においては星(惑星)が社会と人間に影響を与えていると考えられていました。占星術など「あの人は火星という星の下に生まれた人だから気性が荒いんだよ!」等の考え方が本気で信じられていました。自然や宇宙のさらに上位にある大きな存在である「神、宗教」は近代以前の社会では絶対的な存在だったと言えるかと思います。ここで近代以前の世界観は非科学的で間違っているとかそういうことは問題ではなく、近代以前の人々の心は自然、宇宙、神という巨大なものと直接つながっていたということを強調したいと思います。
 職業の分化は農業の誕生とともに複雑になっていきましたが、産業革命以降職業の分化は爆発的に加速しました。アダムスミスの「国富論」がピン工場の分業の例から始められていることは有名です。一人の職人がピンを最初から最後まで製造するよりも、複数の労働者で作業を分担してピンを製造したほうが、ずっと効率が良く生産性が高い、とスミスは言います。なぜなら、分業の結果として、①個々の作業に特化することで労働者の腕前が向上し、②ある作業から別の作業へと移る際の時間が節約されるとともに、③各作業を容易にする多数の機械が発明されやすいからだ、というのです。(太字部分は http://dameinsei.hatenadiary.jp/entry/2012/11/23/052114 より引用しました。)
 このように科学革命を経て、産業革命以降は分業制の爆発的進化により社会は細分化、専門化されていき、人々の視野もまた細分化、専門化されていったと思います。そして現在の超高度情報化社会の中ではその細分化は極限まで達しつつあり、人々はインターネット上の自分の好きな仮想空間の中に閉じこもるようになったのではないかと思います。例えばネットのRPGに閉じこもったり、インスタグラムなどのSNSの中に閉じこもったり、Amazonでワードを検索するだけで数十、数百の商品が表示されたり・・・。
 だから何だというわけではないのですが、現代人は情報過多のこの時代、知らず知らずのうちに細分化された小さな世界に「閉じ込められつつある」という意識を持つだけでも世界観は変わっていくと思います。

参考記事
【書評】欲望と資本主義

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【67冊目】未来の年表 人口減少日本でこれから起こること

 このブログを始めたときのテーマは社会について考える「社会科学」だったはずなのに、最近は脳科学認知心理学などの認知科学が自分の中での主要テーマとなっている。蟻の認知科学とでも改名しようか。
 さておき、ブログの初期にメインテーマとなっていたのは「日本の少子化高齢化、非婚化、無縁化」とそれらが引き起こす近未来の日本社会についてだった。それらをすべて包括的にかつ具体的に説明してくれているのが本書である。(もちろんこのブログより詳しくわかりやすく面白い。)僕には日本の近未来について改めて書くことは、今はそれほどない。(時間の経過とともにまた社会について書くことが増えてくると思う。)
 安倍首相が先の所信演説で少子高齢化を「国難」と表現したが、まさにその通りである。2100年の日本の人口は4000万~6000万と推定されている。あと80年ほどで約6000万人~8000万人ほど減る計算になる。人類史上これほど急激な人口減少と高齢化を経験したことはない。もちろん日本だけでなく世界中の国がこの問題にやがて突入していくわけではあるのだが・・・
 重要なのはこれを「不都合な真実」として目をそらすことなく、自らに課せられた問題であるとして一人一人が、そして社会全体が考えなければいけないことではないだろうかと常々思っている。本書は日本の具体的な近未来を知り考えるための必読書である。

参考記事
ブログのガイドライン その2 社会の考え方
2020年代からの日本社会について
人口減少 日本の近未来 Diamond onlineより

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